ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

follow us in feedly

1年で103人も亡くなってしまう死のハイウェイ、それでも少し改善(ヤンゴンーマンダレー線)

ヤンゴンーネピトーーマンダレー線のハイウェイ。ネピトーに用があるけれど飛行機がとれなくてやむなくここを走ったことがあるという方は少なからずおられるかと思います。ここが死のハイウェーであることはそれなりに知られていますが、それでも若干の改善にはあるという話。

2018年1年間でヤンゴンーネピトーマンダレー線で亡くなった人は103人! 交通事故が473件でケガ人は873人。毎日約3名づつ死ぬかケガしているかという計算です。

ちなみにヤンゴンマンダレー線は記事によれば400マイルとのことですからイコール640km、東京ー神戸よりちょっと長い程度です。距離も性格もよく似ている東名+名神両高速道路の死亡事故件数を足し算すると、2017年で3件、2016年で4件という数字ですから↓

https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/kousoku/documents/29kousoku.pdf#search='%E6%9D%B1%E5%90%8D%E9%AB%98%E9%80%9F%E9%81%93%E8%B7%AF+%E4%BA%8B%E6%95%85%E6%95%B0'

ヤンゴンマンダレー線ではゼロがふたつばかり多いということになります。

しかしそれでも、2017年に比べて改善傾向にあります。2017年は死亡116例、負傷者863例、件数555件でした。

若干なりとも改善した理由が「交通取り締まりの導入」。スピード違反には5万チャット(約4000円)、シートベルト不着用には3万チャット(約2000円

https://www.irrawaddy.com/news/road-toll-death-highway-drops-2018.html

台中盤)と、それなりに抑止力もありそうな罰金額です。

また、この道路自体、”名ばかり高速道路”で、舗装や標識を改良しなければならないとの声もあり。

ビジネスでこの道を通らねばならないみなさま、旅行で高速バス利用のみなさま、ここを利用せざるをえない皆様におかれては、シートベルトくれぐれもお忘れなく!

 

しかしこのワンディングぶり、ミャンマー国鉄の線路もかくやという状況で大変ですね。

f:id:tabibito12:20190105121323p:plain

www.irrawaddy.com

全然ハイテク化されてないミャンマーの鉄道がそこそこ正確に走るワケ

ヤンゴン環状線に乗られたことのある方は、「案外思ったより時刻表どおり来るなあ」と感想をもたれた方も多いと思います。あの博物館モノの線路と中古車でナゼ?と。乗務員室で見えてくるそのワケを紹介。

インドやアフリカの途上国で鉄道に乗ったらカオスな経験ができた・・という旅行記なら、そこら中に転がっています。もちろんミャンマー国鉄だって、雨季で線路が冠水しただとか橋が流されただとか、カオスになる時はなります。しかしヤンゴン環状線の列車はそこそこ時間どおりにやって来る。切符売り場のおっちゃんが「次は15時発」と言ったら、(いくばくかの途上国のように18時に来たりはせず)だいたい15時~15時20分ぐらいのあいだのどこかに列車は顔を見せます。切符売り場のタブレット端末を例外として、ハイテクとはおよそ無縁なこの鉄道をどうやってそこそこ時間どおり走らせられるのか。

この写真にヒントがあります。

f:id:tabibito12:20161113143859j:plain

乗務員室に招待され、助士席に座って環状線一周したときの光景です。運転関係の乗務員は運転士1名と助士2名の3名乗務(その他、車掌と警官が後ろに乗っている)。写真に写っているのは助士の持ち物です。バインダーに挟んだ紙が秘訣。

f:id:tabibito12:20161113145226j:plain

この紙には、この列車が各駅に何時何分に到着して何時何分に発車したか、全部ボールペンで記録することになっています。この紙は、この列車1回限りです。

つまり、全列車の全駅について、発車合図を出しては何時何分に発車して・・・と克明に記録して乗務ごとに提出、フィードバックされているのです。

助士の仕事は発車前後の安全確認に運転時刻管理。これに集中しているから、(さすがに日本並みとは言わないけれど)英米国程度の正確さが保たれている。

逆にハンドルを握っている運転士の前には時刻表が見当たりません。たとえば日本の鉄道ならJR私鉄とわず、必ずこのような運転時刻表が運転士の目の前に鎮座しています。(ミャンマー国鉄の時刻は分単位で規定されますが、日本の鉄道はより精緻に15秒単位で規定されます。たとえばこの写真で神辺駅発車は14時36分15秒)

f:id:tabibito12:20161113151113j:plain

今回の写真はJR東海の中古車キハ40ですから、この運転時刻表を差し込む器具は当然設置されていますが、使用されず、助士が時刻管理に専念しています。

いまヤンゴン環状線にはJICAプロジェクトで日本の鉄道技術者がどっと入り込んでいます。彼らの頭の中には、このヤンゴン線をCTC化して信号含め自動制御・・ということが入っているだろうと容易に想像されますが、このミャンマーで、そこそこうまくいっている部分までそうやって合理化し助士たちの職がなくなってしまうのが正解なのだろうかと一抹の疑問も禁じ得ないのです。

もちろん、「これは日本と中国の競争なのだ。ここでやらなきゃ運用一切がっさい中国式になってしまうぞ」という意見には仰る通りとしか言えないわけですが。

f:id:tabibito12:20161113152759j:plain

 こちら運転士側には時刻表はなく、列車を動かす作業に専念。

f:id:tabibito12:20161119231315j:plain

 

 

www.myanmarinfo.jp

 

 

www.myanmarinfo.jp

  

www.myanmarinfo.jp

 

 

www.myanmarinfo.jp

 

 

www.myanmarinfo.jp

 

ヤンゴン環状線の乗務員室から見えてきた現実(その3:動画クイズです。チャレンジを)

ヤンゴン環状線乗務員室から見えてくる現実、動画編。今回はクイズです。解答は動画に出てきますのでぜひチャレンジを。

この動画はヤンゴン環状線 パラミ駅ーイェグー駅の一駅間約3分間です。

この一駅間で見えるものを5つの選択肢から選んでください。

Q1 この一駅間で、線路に立ち入ってる人は何人いるでしょうか?
 1 0人。ニッポンの常識とおなじ。
 2 1~5人
 3 6~10人
 4 11~20人
 5 20人以上。学級崩壊ならぬ線路崩壊?

Q2 途中、黒いお犬様が視界に入ってきます。このお犬様はどのように行動されるでしょうか?(55秒)
 1.さっと線路脇にどく
 2.列車の進行方向に(列車に追いかけられるように)走り出す
 3.牙をむいて列車に向かってくる
 4.ボォーっと立ちすくみ列車にはねられてしまう
 5.ぴょんと飛び上がって車内に飛び込んでくる

Q3 人間でもお犬様でもない生物体が線路内に確認されます。それは何でしょうか(複数)。
 1.鶏
 2.カラス
 3.豚
 4.虎
 5.ヘビ

Q4 これもニッポンの常識で考えにくい物質(非生物)が線路内に確認されます。それは何でしょうか(2分28秒)
 1 建築資材
 2 ブルドーザー
 3 洗濯もの
 4 野菜販売
 5 他列車の落下部品

Q5 自由記入欄。よろしければコメント欄へ

 

www.youtube.com

 

www.myanmarinfo.jp

 

 

www.myanmarinfo.jp

f:id:tabibito12:20160403174543j:plain

 

 

ヤンゴン環状線の運転台から見えてきた現実(その2:ミャンマー国鉄の線路は恋の花盛り)

ミャンマーの鉄道、ヤンゴン環状線の運転席から見えるシリーズ、その2は、夜の線路は恋人たちの楽園だった!

ヤンゴン環状線の乗務員室、助士席に座ってグルリと回る機会を得て、乗務員室から見えてくる現実。

仲睦まじく線路敷地を歩くカップル。日も傾きはじめ、フォーカスもあいにくくなった時点ですが、とってもアツアツで線路を歩いています

f:id:tabibito12:20160318004119j:plain

さらに暗くなってくると、「線路内デート」のカップルがどんどん増えてくるのです。インセインを出たころにはすっかり夜になったのですが、ビックリなのは、ライトのぼうっとっとした光のなか、ほぼ10秒に1組ぐらい、反対車線の線路内や線路脇にカップルが照らし出されてくるのです。私のコンパクトカメラの性能ではどうにもならずお目にかけられないのが残念ですが、本当に車両スレスレのところで抱き合い熱いキスを交わし・・・と。京都の夏の鴨川べりみたいな感じ。

f:id:tabibito12:20160318004335j:plain

そんなビックリ光景に目をこらすうち、インセインからの最終章は無事、列車はヤンゴン中央駅にすべりこんだのでした。

 

ミャンマー国鉄の線路は「電車(気動車)の通り道」だけじゃなく、生活道路兼ドッグラン兼デートコース兼物干し場兼井戸端会議場のマルチプルスペースなのでした。

f:id:tabibito12:20160318005918j:plain

 

www.myanmarinfo.jp

 

ヤンゴン環状線の運転台から見えてきた現実(その1:線路に集う多彩なひとびと)

ある幸運に恵まれまして、ヤンゴン環状線の助士席に乗って時折スタッフの説明聞きながらぐるっと一周することになりました。この3時間あまり「機関助士」しながら見えてきた現実その1。その線路には、実にさまざまな生命体があふれ返っています。

 

f:id:tabibito12:20160214173423j:plain

 

日本の電車はときどき(人身事故じゃなくて誰も怪我してなくても)「線路内に人が立ち入りましたので確認をおこなっております」との放送とともに20分程度遅れたりします。でも自由なミャンマーではそんな話聞きません。客席にいても線路に人がいるのは見えますが、視点を運転席に移すと、まったく想像もしていなかった光景が広がっています。

仲良しJKはマナー正しく(笑)一列縦隊になって線路を歩きます。

f:id:tabibito12:20160303104958j:plain

お坊さんたちも線路で修行に励みます。縦に波打つ線路を眺めていると哲学的なこと思いつくかも。人生の意味は平坦な線路にあらず。ぐにゃぐにゃ柔軟に曲がる線路にこそ悟りがあるのじゃと。

でも、この縦に波打つ線路でも案外脱線をすることはなく、この電車に乗っても涅槃には行けません。

f:id:tabibito12:20160303105152j:plain

さて俗っぽい人々は線路で何をするのでしょう。団らんのひとときを過ごすのです。
線路の高さって、ちょうど低めの椅子に良いのですよね。老も若も世代を越えて線路内コミュニケーションに花が咲きます。こういう環境では認知症のおじいちゃんやおばあちゃんがひかれそうになったら誰かが助けてくれます。先般の最高裁判決でカッカしているであろうJR東海のみなさん、北風と太陽のお話を思い出すとよいかもしれません。しゃかりきに金網たてるより案外良いかもしれません、こんな風にすると(笑)。そういえば今乗ってるキハ48は元JR東海車でした。海を渡るとキハ48の窓から楽しい風景が見えるようになったものです。

f:id:tabibito12:20160303105850j:plain

コミュニケーションだけじゃないです。「考える人」も線路で考想をねっています。
なんだかアイデアがいろいろ湧いてきそうですね、こういう環境

f:id:tabibito12:20160303111027j:plain

ミャンマー国鉄の線路は一大コミュニティーになっています。そこでは日々、友情が芽生え、悟りが開け、アイデアが生まれている・・・のかもしれません。国鉄万歳!

 

 

 

ミャンマーに渡った広島電鉄が受けているVIP扱い

ヤンゴンに渡った広島電鉄の中古車がすごいVIP待遇。キハ40なんて目じゃないぐらいなスタッフの力の入り方です。

操縦するのはパイロット!
キハ40を運転してるロンジー姿のおっちゃんとは格が違う!

f:id:tabibito12:20160110154243p:plain

案内するのはもっとエライ3本ラインの人。手首にのぞく金ピカ時計が単なるおっちゃんじゃないよと主張しています。

f:id:tabibito12:20160110154530p:plain

一瞬、ミャンマー国鉄とは異なる別会社、私鉄でも立ち上げたのかと思いましたが、帽子をよく見るとMRと書いてあります。ミャンマー国鉄です。でも、こんな制服いままで見たこともありません。

わざわざ広電運行のために、新しい制服までリリースしたのです。

これまでミャンマーの鉄道員はそのままロンジーだったり、穴のあいたズボンだったり。しかしこの変化は象徴的です。人に見られることを前提とした姿かたちに。

つい先だっての軍事政権時代まで、ミャンマーの鉄道は撮影禁止、見つかったらしょぴぁれる対象でした。民主化翌年2012年あたりでもあまり自由ではなくて、撮ったらすぐカメラをポケットにしまったりしていました。環状線のホームに、日常的に先進国の鉄ちゃんの姿を見るようになったのは2013年以降の話。つまり、鉄道やその構成人員が人に見られるという発想は一切なかった。

今後、ミャンマーの鉄道がサービス業の自覚のもと、人を惹きつけてゆく存在へと脱皮してゆくのか、ソフト面で注目されます。

怪しい人は乗せません(キリッ)

f:id:tabibito12:20160110155633p:plain

写真ソースはイラワジ紙

Irrawaddynews - Irrawaddynewsさんの投稿の写真 | Facebook

www.myanmarinfo.jp

 

ソース 

https://www.facebook.com/nyanhline/?fref=photo

 

 

「みんがらばー!はしれはまかぜ」という本をAmazonで見つけた

偶然Amazonで見つけて思わず予約注文を入れてしまった本。
「みんがらばー!」はもちろんミャンマーの挨拶。「はまかぜ」は、ミャンマー国鉄に譲渡されたキハ181の前職(大阪―浜坂・鳥取の特急)。

まだ発売されていなくて1月30日発売とありますから、中身見たわけではなく(だからこの文章は推薦文ではない)思がけず著者からメッセージいただきましてヤンゴンキハ181のことだと確認できました)、でもミャンマーの話だとは濃厚に推測される本。とりあえず衝動的にクリック注文しちゃいました(笑)

f:id:tabibito12:20160102194642p:plain

www.amazon.co.jp

こちらは自前の写真@ヤンゴン中央駅

f:id:tabibito12:20150820230801j:plain

 

実はヤンゴンとニッポンの田舎は共通項・・・と思いつく写真

2枚の写真を見比べてください。まったく一緒ですね。どこかのおっちゃんが、まったくおんなじボックスシートクロスシート)でおんなじ姿勢で船を漕いでいる。おんなじ空気が流れている。どちらも2015年9〜10月のほぼ同期撮影。

服装に注目。上の写真はロンジーをはいています。ミャンマー人です。日本国内の在日ミャンマー人では(下宿内はともかく)、公共交通機関でこういう姿の人はいません。ここはヤンゴンです。ヤンゴン環状線、ついこないだJRからやって来たばかりのキハ47の車内。

f:id:tabibito12:20151031100334j:plain

下の写真。このかっこうでヤンゴンにいたら汗かきすぎて脱水症になります。

こちらは岡山県の山間ローカル線、津山線のキハ47。

f:id:tabibito12:20151031100215j:plain

なんだか、とっても一緒なのです。

  • ヤンゴンとニッポンの田舎は、治安、人口密度、人間の行動と気質、実はとっても似ている共通項がある。
  • ヤンゴンとニッポンの田舎は、実は同レベルの電車が走っている(ヤンゴンにどんどん入ってきているJRの中古車は決して骨董品ではなくて国内でも田舎にゆけば現役レベル!)
  • 同じセッティングでは日本人ミャンマー人同じ行動をとる。2枚とも靴を脱いでいるのに注目。(欧米ならガラ悪気味の兄ちゃんが靴のまま・・というのが定番)

じーっと見比べると、なんだか色々思いついてくる写真です。皆さんもなにか思いついたらコメントどうぞ。

ヤンゴンの道路ますますカオス化、環状線を実用に使おう!(2)

前回に続いてヤンゴン環状線を実用に使う話。今回気が付いて軽い驚きというか感慨は、JETRO事務所のアクセス地図に最寄り駅が記され、「電車で来る」ことを前提とした案内があったことでした。

f:id:tabibito12:20151011121458g:plain

公的機関であれ民間企業であれ飲食店や商店であれ、日本人の利用が前提となる施設の案内に、電車に乗って最寄駅から来る前提の案内が載る、これはある意味象徴的なことです(JETROの人が意識したかしないかかかわらず)。

邦人が発展途上国の公共交通機関をどうとらえるか、それは発展段階にかなり相関します。たとえばシンガポールバンコクや香港の電車・地下鉄ならば当たり前に日本人に利用され、アクセス地図には何の不思議もなく最寄駅が記されます。他方、(私が外務省時代に在勤していた土地では)、スーダンハルツーム駅やセネガルダカール駅といった場所が日本語の案内に記されたということは寡聞にして知りません。そのような電車を利用する日本人もまずほとんどいません。(”ほとんど”と入れたのは、「鉄ちゃん」という存在があるからです。ここだけの話、私も一度、ダカールの近郊列車に乗って「鉄道ジャーナル」にレポート載せたことが1回だけあることを告白しておきましょう。ここだけの話ですよ。ボディーガードがわりに使用人同伴しましたから、これを読んでるみなさんはアフリカ行っても真似してはいけません)運転手が運転する公用車私用車か、タクシーが前提。

つまり、ヤンゴンで日本人前提の案内に最寄駅が明記されたのは、ヤンゴンの公共交通機関(環状線)が、道路のカオス化という事象も手伝い、日本人の意識のなかで、明らかにある一線を越えた存在に格上げされたことを意味します。これから車両が”見慣れたJRの中古車”に置き換えられてゆくなかで、この傾向はまず後退することはないでしょう。

さて本論、今回は切符売り場。

ニューフェースはこちら黄色いシャツの男女。(本人同意を得て撮影)

f:id:tabibito12:20151011123604j:plain

この美男美女たちは新興切符売りです。行く先を告げると、タブレット端末を操作してすぐに発券してくれます。これはパヤーラン駅ですが、もちろんヤンゴン中央駅にだってあります。そしてこちらが一見して外国人とわかると、聞かなくても、次の電車が何時発でどのホームから出るか教えてくれます。

伝統的切符売り場も併存しています。こちらは昭和時代の日本国鉄の窓口みたいに硬券(厚手のボール紙でできた、電子・磁気情報が一切はいらない切符)の入ったケースが並んでいます。この写真は内側から見たところです。私の右手あたりにケースがあり1枚とって日付印をおして、金網の向こう側にいるお客に売るという手順(いま50代以上の方ならわかりますね)。この写真自体は環状線からはずれますが。

f:id:tabibito12:20151011124857j:plain

環状線の切符は300チャット均一です。ただ、新興切符売り場のタブレット端末には駅名をおすボタンもあるようですので、将来的には山手線みたく距離制運賃を導入する布石があるのかもしれません。

環状線の切符です。一番下の大きなのは、ヤンゴン中央駅ホームの在来売場で売ってます。もともと外国人はパスポート番号をひかえられてドル払いでという手続きを経ないと乗ることができず、その名残です。パスポート提示は不要になりましたが名前・国籍の記入を求められます。乗車駅と下車駅の欄がありますが、こちらに何も尋ねることなく、ヤンゴンヤンゴン着と書いて渡してくれます。つまり、駅員さんの頭の中では、「外国人は1周して戻ってくるオタク乗車の人しかいない」前提のようです、まだ今のところ。

f:id:tabibito12:20151011125851j:plain

前回とあわせて、切符の買い方(そしてほぼ自動的に正しい列車に案内してくれる)、正しい下車駅の降り方を理解いただけたかと思います。ヤンゴン環状線、この先もっと快適になってゆきますから、ぜひ愛用を。

 

 

www.myanmarinfo.jp

 

 

www.myanmarinfo.jp

ヤンゴンの道路ますますカオス化、環状線を実用に使おう!(1)

ヤンゴンの道路のカオス化がますます進行しています。地元の人間も時間が読めない。

 

自慢の日本車を駆って私をホテルまでピックアップに来てくれる軍医さんたち、ほぼ日本人と同じ時間感覚の持ち主であることはこれまでの実績でわかるのですが、今回の訪問では20〜30分延着がしばしば。

日本人とのアポでは多くの場合、自力でタクシーひろって赴くのが基本となりますが、今回はあまりの事態に、数回、ヤンゴン環状線を実用に使ってみました。

ヤンゴン環状線、多くの外国人観光客は「ヤンゴン中央駅から乗って一周してヤンゴン中央駅に戻ってくる」という、いわば”オタク的”な利用が一般的です。その間車窓から都市・農村・線路市場・人々の暮らしと様々は光景が撮れるのが観光客にウケ、最新版ではついに「地球の歩き方」にアクティビティとして掲載されるという話まで耳にします。

私も、これを1周したり区間列車でインセインやミンガラドンへ単純往復してくるのなら何度も経験がありますが、オタク的乗車じゃなく実用目的となると大きな課題があります。

目的地の駅で正しく下車すること

駅名票はビルマ文字、車内放送もなし、ましてや液晶案内板なんて夢のまた夢という状況でどうやって初めて降りる下車駅を判定するか。

車掌さんに教えてもらう

路線図とにらめっこして、一駅一駅数を数えてゆく

というのが基本になります。ミャンマー国鉄の車掌さんは基本的に外国人に親切ですから言っておけば教えてくれます。この写真で一番後ろで身を乗り出し旗をもってる人です。(ほかにも検札のための車掌さんだとか、警察官だとか色々乗務している)

f:id:tabibito12:20150914194522j:plain

ここで役に立つのがミャンマージャポン(通常ミャンジャポ)の地図自分の目的地の最寄り駅に〇をつけます。この写真は、ヤンゴン大学のアポ。最寄り駅のレーダン駅に〇をつけます。それを車掌さんに見せて、ここで降りたいと言います。英語が通じないことも多々ありますが、ミャンジャポ地図見せて指させば意味は通じます。

f:id:tabibito12:20151008180158j:plain

ミャンジャポ地図はこちらからダウンロードできます。なんと画期的なことに、ヤンゴン空港に降り立つとツーリストインフォメーションカウンターに置いてあるのを今回目撃しましたから、(在庫切れてなければ)降り立ったらすぐゲットしましょう。英語版はMAI(ミャンマー国際航空)国際線の機内誌とし採用された!とも社長さんから聞きました。搭乗したらミャンジャポがシートポケットに入ってるなんて素敵ですねMAI。

yanmarjapon.com

車内はこんな風。道路があのカオス状態なのに対し、ラッシュ時の混んでる車両でも日本の首都圏や関西の通勤電車よりはかなり余裕です。他人と体が触れることはありません。この旧型客車を、日本のJR中古車に置き換えると発表されていますから、数年内に日本の地方都市そっくりの通勤光景になるはず。

f:id:tabibito12:20150914194705j:plain

時刻表だとか、使用車両だとかホームは、「ヤンゴン環状線」で検索すれば日本の鉄ちゃんたち複数が、微に入り細に入り日本語でアップしてくれていますから、情報収集に苦労しません。駅についたら切符売場で300チャット出して購入。ホームは(こちらが外人と見ると)言わなくても駅員が指南してくれます。
 

道路カオス化のなかヤンゴン環状線を乗りこなすスキルはヤンゴンライフの必須アイテムになりつつある。

 

www.myanmarinfo.jp

 

www.myanmarinfo.jp

 

ここ数年でヤンゴンから消えた光景

写真整理していました。ヤンゴンで消えちゃったもの、もうすぐ消えそうなもの。
変化の激しさを実感です。

一目で大阪市バスとわかるバス。いつの間にかラッピング広告か韓国バスかになってしまいました。でもイーストホテルはこの頃すでにきれいでした。

f:id:tabibito12:20150824205234j:plain

この黄色い客車が消えたのは「塗り替えたから」なのですが、JR中古車の大量上陸で「存在そのものが」なくなりそうです。

f:id:tabibito12:20150824205432j:plain

取っ手がもげてしまって窓開閉が困難なタクシー。昨年には一掃されちゃいました。
でも一方で、タクシー主力がプロボックスライトバン)になったから、きれいだけど座り心地は悪くなりました。

f:id:tabibito12:20150824210142j:plain

ビクトリア病院も、こんなにイケてないところがありました。2013年になってからグングン伸びましたが、それ以前のスナップ。この頃はビクトリアといわず「Witoriya General Hospital」と表示してました。LEO medicalなんてものもできる以前です。

f:id:tabibito12:20150824205136j:plain

これらは大昔の懐古写真ではありません。民主化してちょっと後ぐらいのタイミング。3年ひと昔ぐらいの変化スピード。これから3年経ったころになくなっていそうなものなら、さらにいっぱい撮りためています。ミャンマー行かれるみなさんはぜひ。

ミャンマービールがキリン傘下へ

ミャンマージャポンの速報で、キリンがミャンマービールを買収して社長が日本人になると報じています。

【速報】キリン「ミャンマービール」を買収:MYANMAR★JAPON ONLINE

【続報】「ミャンマービール」社長に藤川氏、キリンHDが役員過半数派遣へ:MYANMAR★JAPON ONLINE

ミャンマービールといえば、濃緑のシンボルカラーに独特のロゴがすっと思い浮かびます。これがキリン化してゆくのでしょうか。

そういえば連想するのがこれ。

全身ミャンマービールのラッピング広告をまとったキハ181系!
国鉄⇒JR⇒ミャンマー国鉄と渡り歩き、元はといえば「はまかぜ」「やくも」「おき」「しなの」「つばさ」「あおば」「いなば」といった特急列車の先頭をかざっていた車両です。

f:id:tabibito12:20150820230801j:plain

f:id:tabibito12:20150820230707j:plain

ミャンマービールがキリン化するなら、日本の国鉄やJRで現役中にはあり得なかった、全身キリンビール!マークのキハ181が実現するのでしょうか。

こちらは2012年頃にヤンゴン路上で、土ホコリまみれで売られていた中古品をゲットしたもの。当時、おおっぴらに売っても怒られなくなったばかりの(使用した形跡のある)NLDのバッジと一緒に買いました。いまはさすがに、さくらタワーから5分圏内で使いさしのジョッキやらバッジなんか開いてる人見かけなくなりましたが・・・

f:id:tabibito12:20150821155458j:plain

初来日のミャンマー人が撮ったもの(その3:来日ミャンマー人を喜ばせるワザ)

国際学会(WCAP2015)シンポジウムで初来日したミャンマーの教授たちのアテンド。もっともウケたものに、新幹線!があります。

f:id:tabibito12:20150314215901j:plain

学会の会場は九州大学医学部百年講堂。福岡空港に直接入出国した彼らには新幹線に乗る機会がありません。そこで新幹線体験もプレゼントすることに。福岡県には「博多南線」というものがあります。博多駅に着いた新幹線を車庫まで回想がてら営業するというもので、往復600円で乗れたりします。6名お連れしても3600円。時間もさほどかかりません。博多南駅では折り返しが30分もあるのでじっくりと記念撮影が出来ます(まあ、博多南線のない東京や大阪でも、一駅間なら特急券800~900円台ですが)。

おすすめは、時刻表を見て[500系]と表示されている列車です(東京には顔ださず、走っているのは新大阪ー博多間だけですが)。
新大阪方の先頭、8号車にはこんな空間があります。廃車からとってきたと思われるホンモノのレバー類をしつらえた、模擬運転台。これがミャンマー人にウケルのなんのって・・・

f:id:tabibito12:20150314223220j:plain

御本人が心底嬉しそうにしているだけではありません。フェイスブックにアップし、その(ミャンマー国内からの)反応がまたスゴイのです。この写真はヤンゴン大学教授ですが、フェイスブックにきた「いいね!」が、かの国の大学関係・医療関係・保健省官僚あわせものすごい数来るのです。 

f:id:tabibito12:20150314223532j:plain

この写真にも、ものすごい数の「いいね!」

f:id:tabibito12:20150314225820j:plain

[500系]の表示がある列車は、6号車で元グリーン車を普通車として使っています。オーディオとか足のせを撤去しただけであとはそのままですから、こんな豪華な雰囲気です。彼らは大量に写真を撮ってフェイスブックで拡散してくれますから、イメージアップです。(博多南線では自由席扱いですが、新大阪ー博多の「こだま」では指定席扱いになりますから、みどりの窓口で6号車と指定して指定券買う必要があります)

f:id:tabibito12:20150314230357j:plain

 

ミャンマー人には新幹線がことのほかウケル。本人が喜ぶだけじゃなく、FBにアップされた写真に対する、ミャンマー国内からの反応がスゴイ。来日したミャンマー人の接待に使わない手はない。

ミャンマーの鉄道博物館。。。じゃなくって、現役施設!(その2)

引き続き、ミャンマー鉄道博物館、もとい、現役施設の紹介。国鉄バゴー駅の反対側へ歩いてゆきます。見えているのは駅長さんの背中。

f:id:tabibito12:20150507195121j:plain

SLの転車台をみながら車庫にゆくと、こんな簡易車両が昼寝をしています。

f:id:tabibito12:20150508174632j:plain

これは、こんな可愛い客車を引っ張ってトコトコ走ります。夏目漱石の「坊ちゃん」の世界ですね。

f:id:tabibito12:20150508174748j:plain

で、線路を歩くと牛さんに会えます。この牛さんは野良じゃあなくて、夕方になったら所有者が現れ、石をぶつけたりして牛舎に追ってゆきます。つまり、牛さんにご飯の草を食べさせるために、国鉄の線路を歩かせているわけです。ミャンマー国鉄はフレキシブルです。どこかの国のJRみたく、「お客様が線路に降りられましたので」見りゃあわかるのに「確認のため」30分も電車停めたりなんてマニュアルバカはやらないのです(どうせ東大卒の人が机の上で考えて現場に押し付けてるんだろうなあ、あのバカマニュアル)。

f:id:tabibito12:20150508174946j:plain

ホームの上も「子供に優しいワンダーランド」です。ベンチを取っ払ったりなんかしませんし、お昼寝も自由、おちんちん出して走りまわるのも自由です(子供限定ね)。鉄道好きに育つかな。

f:id:tabibito12:20150508175058j:plain

f:id:tabibito12:20150508175211j:plain

鉄道は、これから日本のODAがどんどん流れ込んで様変わりしてゆく分野ですが、ギスギス感、セカセカ感、マニュアルバカは輸出しないでほしいところです。

 

 

ミャンマーの鉄道博物館。。。じゃなくって、現役施設!(その1)

ミャンマーの鉄道で検索すると、日本から渡った中古車がいっぱいヒットしますが、実は地上側にもとっても懐かしいものが並んでいます。40代以上の人にとっては、子供心に遠い土地に思いをはせながら眺めていた光景。

 

これは切符売り場。もちろんパソコン端末なんかありません。
窓口に乗客がやってきて、「〇〇までください」と言ったら、その「〇〇駅」のところを探して、ボール紙に印刷された切符を抜出し、今日の日付をポンと押して渡します。ここにない駅に行きたいお客には、カーボン紙で複写になった手書きの切符を作成して渡します。

f:id:tabibito12:20150423193927j:plain

列車が出発すると、駅長さんは「鉄道電話」で隣駅の駅長さんに「出発したよ!」と連絡を入れます。赤い電話機がそれです。横についているハンドルをグルグルっと回すとお話が出来ます。グルグル、もしもし、〇〇▽□、グルグルって感じで会話します。

赤い大きな箱で、「閉塞」を管理します。隣の駅や信号場まで、一定の区間にひとつの列車しか入れないようにして、衝突しないように管理するのですが、ここからメダルの変型判みたいなのが出てきて、それを運転士に渡し隣駅まで持っていってもらいます。40代以上の人は、急行列車の運転士が巨大な輪投げのお化けみたいなの(タブレットといえば医療コミュニティでは錠剤のことですが、鉄道コミュニティではこの輪投げのお化けみたいなやつを指します)を、通過駅の棒にヒョイとひっかける名人芸を見た記憶のある人もいると思いますが、あれに入っているのが赤い箱から出てくるメダルもどきです。

f:id:tabibito12:20150423194734j:plain

さて、駅のはずれに行くと、高床式住居の足をさらに3倍ぐらいにのばした小屋が建っています。信号小屋です。中はこうなっています。

 いっぱいならんだレバーをガッチャンと動かすと、ポイントが切り替わります。

この信号小屋の中は「土禁」になっています。寺院と同様、靴を脱いで入る神聖な場所です。

f:id:tabibito12:20150430213624j:plain

この配線図を見ながら、間違えないようにガッチャン、ガッチャンと切り替えます。

f:id:tabibito12:20150430213829j:plain

この信号小屋から見える風景。右側に行く線路は、モウラミャイン方面へ。左側の線路はネピトーからマンダレーへ。列車が正しい方向に行ったか確認!

f:id:tabibito12:20150430214031j:plain

ミャンマー国内の足といえば、先日紹介した「しょっちゅう突っ込んでしまう高速バス」を使う方が多いですが、素朴な鉄道もなかなかオツです。

ミャンマーの高速バスはしばしば突っ込んでしまうから後席に乗ろう - ミャンマーよもやま情報局

日本のODAがどどっと流れ込んでくる分野でもあるので、今のうちかもしれません、こういう写真。