ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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軍事博物館でミンアウンフライン将軍とアウンサンスーチー氏のラブラブ写真

 トルコの軍事クーデター。大統領に反旗ひるがえした軍勢力、160人超犠牲だとかおぞましい報道が世界を駆け巡っていますが、それと対照的な画像がミャンマー発で流れています。アウンサンスーチー氏とミンアウンフライン将軍の仲良しショット。

なにやら美術館でデート中みたいな仲良しムードのこの2人、ご存じ国家顧問とミャンマー軍トップ。この2人が満面の笑みを浮かべてるツーショット自体は総選挙前から何かと流れていました。

歴史的経緯をたどれば♡ムードになるはずもなく、いまトルコで起こっていることが、今年総選挙後にこの国で起こるのではないかと懸念する声さえ(あの頃、一部で)あった位ですが、実際には見事な対照を見せています。殺しあってでも白黒はっきりさせるのではなく、なんとなーくもぞもぞと妥協しちゃうアジアの知恵を感じさせるショットです。ミャンマーも確実に「アジア人の賢さ」を身に着けています。 

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ところで、これらの写真はミンアウンフライン将軍のFBにアップされたものですが、現地各紙は同じ写真を載せています。つまりこの場にマスコミは呼ばれていなかったようです。

その他の展示物を見てみると驚くのがこれ。

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アウンサン将軍コーナーでお父上の遺品に見入る愛娘ですが、注目は展示物の方。後ろにかかっている巨大な額は、日本の旧帝国陸軍の制服ではありませんか! そして愛娘がじっと見入っているのも旧帝国陸軍軍刀(日本刀)です。こういったシロモノが日本国外で堂々と飾られている正式な(⇐ミリタリーおたくが集う同好の館はのぞくという意味)場所はここぐらいなものではないか。

いっそのこと、この博物館、外国人観光客に開放して1人$20ぐらい吹っかけても、ビルメロもミリタリーおたくも続々やって来て、結構もうかるのではないかと愚考します。

写真ソースはミンアウンフライン将軍FB

Senior General Min Aung Hlaing - 写真 | Facebook

 

www.myanmarinfo.jp

 

 

www.myanmarinfo.jp

 

 

www.myanmarinfo.jp

 

ミャンマー当局が象さんの密猟は許さんゾウ・・と張り切るなかで、ブッシュミート問題も透けてきた

象さんの密猟者捕物帳。ミャンマー警察が寝込みを襲って2人逮捕、3人取り逃がしという顛末。下手人たちは夜中に象の肉を保存作業していたとのこと、象牙だけじゃなくてブッシュミート問題も透けてきました。

アフリカの密林では密猟者とレンジャーとの戦いは熾烈を極めます。密猟者たちは象牙をちょん切って、さらに中国人ワルの手を経て高級印鑑に化けるという寸法ですが、ミャンマーでも同じことが展開しているとイラワジ紙報道。

イラワジ地方Bhamo Creekで警察が密猟者を急襲、銃撃戦のすえ2人逮捕し3人取り逃がし。いずれも象の肉を加熱し保存作業をおこなってから銃を置いて寝込んだところを急襲するも気が付かれて全員逮捕には至らなかった模様。

 その時、像の肉を加熱して保存作業をしていたと記事にはあります。つまり、密猟者たちが殺した像はただ単に象牙を取って中国人のワルに売り渡すだけじゃなくて、(この写真だけじゃ伝わってきませんが実際のところ)像の肉を食べる。食像行為にも走っているわけです。そして像肉の流通ルートもあるとか。

 

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こうした、森の中で仕留めた動物の肉を食らうことを「ブッシュミート」といいます。[bush meat]でgoogle検索、画像を出したら実に色々出てきます。
さしあたりこんなあたりでしょうか。

bush meat - Google 検索

これは2014年のエボラ騒動のとき大問題になりました。コウモリがもっていたエボラウイルスがヒトの世界に入ってきたとき、流行国(ギニア・リベリアシエラレオネ)の人々がコウモリを撃ち落として食べたり(実際に上記検索では、自分で撃ち落としたコウモリを喜色満面で広げて見せるJKの画像が出てきたりする)、サルを食べたりする伝統的食行動が大きな役割を果たしました。現地政府はブッシュミート禁止令を出しましたが、エボラ流行が終息し1年もたてば元の木阿弥。ただ単に禁止をかけてもうまくゆかない。それは貧しい森の住民にとって、ブッシュミートは現金を要しない貴重なタンパク源になっていて、それを取り上げれば(ただ禁止すれば)彼らの栄養状態に悪影響を及ぼすからです。効果的にやめていただくには、村落開発で養鶏や養豚などの技術支援をおこなってブッシュミートに代わる蛋白源を得るスキルを伝えることが必要。(実際、アフリカで活動する青年海外協力隊で、村落開発は人気職種)

私にとって、このブッシュミート問題はひとえにアフリカで出会う問題でした。上記に加え、コンゴ民主共和国への定期出張では、キンシャサの路上で自分が仕留めたサルを道行く車に突き出して「美味なサル、買わんかえ~」とやってる住民を毎回目にしては考え込んでいたものです。

今回イラワジ紙の記事で、このブッシュミート問題がアフリカのみに存在するのではなくミャンマーでも密猟した像の肉が重宝されてしまうということが分かったのは、重たい現実でした。ヤンゴン・ネピトーから始まる経済発展が、将来、村人たちに波及して像の肉に手を出す人がなくなることを願っています。

 

 

Dateline Irrawaddy: ‘We Have to Reform the Entire Administrative System’

怖いお坊さんの地雷を踏んだらどうなるか・・・進行中

怖いお坊さん・・・MaBaTha。ヤンゴン担当大臣が「我が国にMaBaThaは要らない」と批判したからさあ大変、支持者がヤンゴン空港に待ち構える騒動、イラワジ紙はstay tunedと言いながら継続的中継モードに。

誰もが腫れもの触る扱いの”怖いお坊さん”MaBaTha、仏教ナショナリストの面々の、虎の尾を踏んでしまったのがヤンゴン担当大臣Phyo Min Thein。出張先のシンガポールで厳しく批判したところ、出張から戻ってくるヤンゴン空港に支持者がプラカード持って待ち構えるは、怖いお坊さんたちがこんな鬼気迫る表情で緊急ミーティングに記者会見をやるわ、、

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なにかにつけてお坊さんたちが巨大な声をあげて騒動を起こす・・というのは、ある時代の日本史の授業でも聞いたことがあるような話ではありますが、逆鱗にふれると何が展開するのか、stay tunesです。

また、怖いお坊さんと同時に学生たちもまた、54年前の1962年7月7日の学生vs軍の衝突事件メモリアルデーとして大声をあげています。SEALDsの皆さんが60年安保OBのお爺さんたちと一緒に国会前でなにやら叫んでいたあの光景を連想していまいました。なかなかかまびすしい七夕の日であります。

 

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今後も何かにつけこの国の行く手に影響を及ぼしてゆきそうな大勢力、次は何をやってくれるのでしょうか。

ソースはイラワジ

Ma Ba Tha Supporters Protest Against Rangoon Chief Minister

The Irrawaddy - English Edition

 

 

アラカン州の住民呼称めぐる迷走・・・いわゆるロヒンギャと呼ばれるものも絡んで

ラカン州の仏教徒イスラム教徒の呼び方をめぐって、とっても微妙な感情がぶつかりあって迷走しています。

ロヒンギャ”という単語を大部分のミャンマーが極めて嫌がるのは以前も紹介したところです(私もミャンマー人の前でこの単語を口にしない)。

いまアラカン州では、そもそもマジョリティ仏教徒を含めてどう呼ぶか、怖いお坊さんのデモ行進まで起こって迷走しています。

ロヒンギャと称したらたちまち炎上するわけですが、そうじゃなくてベンガル人と呼べというのが大多数の主張。で、妥協策として出てきたのが「アラカン州の仏教コミュニティ」「アラカン州のイスラムコミュニティ」と対等に呼ぶ案。でもこれだと、いわゆるロヒンギャと呼ばれている人々は不法移民だというかねてからの仏教徒側の逆鱗にふれて大炎上。

大炎上をうけて、「アラカン州の仏教コミュニティ」なるニュートラルな呼び方もあきらめて、仏教徒イコール「アラカン民族 Arakan race」と呼びましょうとアラカン州当局は屈した模様。

今後このドタバタ劇がどう展開してゆくのか注目ですが、われわれ日本人としては(人権団体で頑張っておられる方をのぞき)、地雷を踏まないよう注意いたしましょうということに尽きます。

 

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ソースはイラワジ紙

After Protests, State Government to Use Only ‘Arakanese Race’

 

ダッカの事件を受けて、テロに遭ったらこうしよう

ダッカのテロ。当面同じことがサクラタワーやプライムヒルで展開する確率はそれほど高くないにしても、向かいのスーレーシャングリラのバスルームでミニ爆弾が爆発したことは過去ありました。今回は、テロに遭遇したときの基礎知識のおさらいが出来るサイトを紹介。それぞれクリックして熟読ください。

犠牲となられました皆さまに心よりご冥福をお祈りいたします。

www.buzzfeed.com

 

外務省HPテロ対応のpdfページ(パンフ形式)

http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pdf/counter-terrorism.pdf

 

courrier.jp

 

r25.jp

ryugaku.ablogg.jp

チャイナプラスワンに続いてUKプラスワンへ

UKプラスワン。聞いたことあるような無いようなと思われたみなさん、すみません私の勝手な造語です。でも商標登録(笑)したくなるぐらい、この言葉、きっと経済誌紙に出てきますよ、そのうち。

 

いまミャンマーにいらっしゃる皆さまのすくなからぬ割合は「チャイナプラスワン」という流れに乗っかってヤンゴン空港に降り立ったのではと思います。直接中国から転勤したのじゃなくても、そういう流れを意識してヤンゴンの土を踏むことを夢見た(あるいは泣く泣く辞令にしたがった:失礼)と思います。

これまで中国に進出していた企業が、チャイナリスクの高まりとともに、中国に拠点を残しつつ、もうひとつ別の拠点をタイ・ベトナムインドネシアはじめとするASEAN諸国に加え、そのひとつにミャンマーも熱い視線を浴びている・・というのが5年ちょっと前ぐらいの経済紙に載っていた解説で、実質的には「中国に拠点の越しつつ」の部分が「引き払って」変質してしまってる向きも見られます。

UKプラスワン。「UK」の部分はどうなるのか。。。

これまでEUへの足掛かりとして英語が通じて労働法制がリーズナブルなこの国を欧州拠点としてきた日本企業は多々ありました。実は黄色人種を見る目はちょっと微妙なあの国ですが、それでもたくましき日本企業はどんどんと。そんなメリットはBREXITで急速に色あせます。しかしながら、日立の高速鉄道に象徴されるごとく、あの国単独でもまあまあそこそこ悪くない商売はできなくもありません。もう一つ要素として、これから治安の悪化といった事象も予想されます。あの国の薬物問題は大変。さらにもってUKから独立したいと考える人々が騒動起こすかもしれない。私があの国に留学していたのはかれこれ25年も前になりますが、人口10万のオックスフォード田舎町は平和だけれど目覚ましがわににかけていたFoxFMの朝のニュースは毎朝毎朝、ベルファストのどこそこで爆発とか、シンフェインが何やったとか、北アイルランドのまあろくでもない話を吐き出していました。またぞれあれが始まるのでしょうか。

そんなあれやこれやを飲み込みつつ、縮小はあれど完全撤退は案外少ないUK進出は維持されてゆくのでしょう。

では、「プラスワン」の部分はどこへ向かうのか。。。

まずはデュッセルドルフ日本人村のさらなる繁栄でしょうか。そしてベルリン・フランクフルト。基本はドイツですね。チャイナプラスワンでいえばタイみたいな感じかな。

そしてパリ日本人村のにぎわいも戻ってくるか。私がパリに在勤していたのは、1995年にスーダンから転勤してきて、2000年なかばにセネガルへ転出する間の4年半ばかしでした。その頃、多くの日本企業がパリを引き払ってロンドンへ行ってしまう潮流がありました。ポートマイヨーの大丸が閉店して日本食品の入手がずいぶん不便になったのもこの頃でした(オペラ座界隈の「京子」というコンビニに毛が生えたぐらいの店がせいぜいになった)。まさに「逆ヤンゴン状態」があの頃展開しました。あの国は労働法制がやたら強く、公租公課がやたら高いという、「ミャンマーがああなったら困る要素」がいろいろあるのですが、まあそれでも高付加価値業種は市場アクセスを求めてパリへパリへと戻ってくるのでしょう。チャイナプラスワンでいえばインドネシアベトナムの感じでしょう。

ダークホースは、ブリュッセルルクセンブルクあたり業種によっては検討されるかも。とりあえず限られた業界が目を向けるという点ではカンボジアミャンマーラオスに相当するかもしれません(単純労働という意味ではなく。為念)

ソースはありません。私の脳内お遊戯です。話半分で。

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イラストのソース

Brexit Poll of the Week | Open Europe

アウンサンスーチー氏のタイ訪問が終わったら駆けつけた出稼ぎ労働者が解雇されちゃった

タイに出稼ぎに行っているミャンマー人が200万人とも400万人ともいわれるなかで、アウンサンスーチー氏がタイ訪問中にミャンマー人出稼ぎ労働者たちと対話集会がおこなわれました。が、彼女がミャンマーに戻ると、集会に参加していた出稼ぎ労働者たちがクビになってしまったという悲しいお話。

 

アウンサンスーチー氏はタイ訪問中、タイ・ミャンマー両側の労働大臣は①国境移動②労働協力③労働協約3つの覚え書きを交わす成果がありました。

そしてMahachai市場で出稼ぎミャンマー人たちとアウンサンスーチー氏との対話集会が行われたのですが、当初の先着順との話が変わり500人しか入れないことになった。そして集会後屋外でスピーチがあるはずだったのも大雨で中止。多くの出稼ぎミャンマー人たちは待ちぼうけを食らったのでした。

さらに気の毒なことに、この集会に参加して職場を抜け出したかどで解雇されてしまったミャンマー人が続出していると、現地の権利擁護グループが発表しています。

タイ出稼ぎミャンマー人たちの置かれている不安定な雇用、気の毒な立場が一層際立ってしまった出来事でした。

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ソースはMyanmar Times

Thai officials, Myanmar migrant workers fired after Daw Aung San Suu Kyi’s state visit

集会の日本語報道はこちら

スー・チー氏、タイ訪問=ミャンマー人労働者と交流:時事ドットコム

【ご注意】 ミャンマーでパラチフス感染したケースが話題になっています

ミャンマーから日本に帰国してパラチフス感染が確認されるケースが目立っており渡航医学界隈の話題になっています。日本で診断されたパラチフス症例の過半数がミャンマー帰りです。パラチフスの紹介。ミャンマー滞在中ご注意を!

 

日本の国立国際医療研究センターから発表された論文。2014-15年に日本でパラチフスと診断された31例のうち過半数54.8%がミャンマー帰りで、そのうち6例が同センターの受診。いずれもビジネス目的の渡航ですから、まさか少数民族地域の森林へ分け入った・・・とは考えにくくヤンゴン・ネピトー・マンダレーあたりでしょうか。当サイトにお越しいただいている皆様と同様の行動様式・範囲かと思います。

パラチフスの感染は・・・

原因となるパラチフスA菌は感染者の糞便に出てきます。それが口から入ると感染への第一歩。なんで糞便に入ってる細菌が口から入るの? 私はそんな特殊な趣味は持っていないから大丈夫!? ではないのです。たとえば。。。

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この写真はヤンゴン環状線パヤーランブーダー(駅)ホームに開店しているお店です。プライムヒルセンターの最寄り駅かつボージョーアウンサンマーケット直結ホームですから、通りかかった方も多いでしょう。ホームの西端、この周囲には水道がありません。ではこの中年女性はどうやって手を洗うのか。バケツにちゃぽちゃぽ手をつければ良い方でしょう。その手でモヒンガーをひょいとお皿に盛ってニッコリ笑顔で渡してくれます。そう、水道のない屋台がホームや道端に花盛りのヤンゴンでは「糞便中の細菌(ウイルスも)が食物にくっつく」シチュエーションがあちらでもこちらでも日々展開しているのです。

 

さらにCook it, boil it, Peel itをモットーに
自分はそんなところで飲食しないよ、基本自炊だよという方も多いと思います。
そこでのモットーは煮て焼いてむいて。熱を通せるものは熱をとおして生食は避ける。
果物は皮のついたもの(バナナやかんきつ類)を買ってきて自分でむいて食べましょう。

 

パラチフスの症状は・・・

パラチフス菌が口に入って1~2週間ほどで症状がはじまります(潜伏期)。高熱・徐脈(脈が遅くなる)・脾腫(脾臓が腫れる)などの症状とともに、こじれると腸に穴が開くというややこしい事にもなりえます。そこまでこじれなくても、下痢と発熱はミャンマーの気候下では脱水につながります。点滴が必要になることも再々。もしかして・・と思ったらビクトリア病院やSOSへゴー!です。

日本に帰国してから「もしや・・・」と思ったら

なお、日本に帰国してから「もしや・・」と思ったら、日本渡航医学会の「帰国後診療医療機関」を参考に受診してください。

帰国後診療医療機関リスト

 

国立国際医療研究センターから発表論文 

Six Cases of Paratyphoid Fever Due to Salmonella Paratyphi A in Travelers Returning from Myanmar Between July 2014 and August 2015

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UKのEU離脱騒動はミャンマーにどう影響するのか

BREXIT、UKのEU離脱騒動はミャンマーにどうかかわってくるのか。
「かもしれない」話ですが思いついた範囲で。

1.UKの外交官と通商当局者の手間が今後膨大に取られる

 まずEU離脱にあたりUKがやらなければならないことがこちらのサイトの列挙されています。

www.buzzfeed.com

主たるものとして
1.フランスやドイツなど27の他のEU加盟国と、個別に新たな貿易協定を締結する必要がある。
2.リスボン条約第50条により、2年間で離脱しなければならず、その間に他の加盟校とさまざまな合意をしなければならない。
3.独自の法律を膨大に立法しなければならない(ファイナンシャルタイムズ曰く「英国政府は1972年以来、EUから派生する法律に頼りすぎてきた。これらの法律の置き換えには、何年もかかるだろう」)

4.EU以外の国と結んでいる53の自由貿易協定を結びなおさねばならない。

があります。

さて、ここで問題、この作業をやるのは主として誰でしょう?
外交官と通商官僚です。そして3.は国会議員
つまり、UKの外交官と通商官僚と国会議員の手間が天文学的に取られる。

2.UKの外交官は日本に比べれば圧倒的に恵まれているけれど、それでも絶対数は限られている。

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これは主要国の外交官数です。人口あたりの外交官数は日本の3倍と非常に恵まれていてふんだんに税金が投入されているのが大英帝国以来この国の伝統です。
しかしながら、絶対数では日本の5300人に比べてUK6900人。約3割多いものの桁が違うほどではない(米国は2万2千人なので桁が違う)。この、日本よりせいぜい3割程度多い人員が、EU28か国に優先的に振り向けられ天文学的作業にあたります。

3.ミャンマーに振り向けられていた人員は引きはがされるかもしれない
 ミャンマーはいうまでもなくUKの旧植民地でした。そうでない国に比べて比較的潤沢に人員が割り当てられています。たとえば私がスーダンに在勤していた頃、UKの大使館は日本大使館とはくらべものにならない規模で売店も大充実、スーダンでは手に入らない先進国水準の食料品や日常生活物資を他国の外交官にも購入する権利を与えていました。私自身、その入場許可証を手に「通称英大売店」に行ったものでした。
つまり、旧植民地のポストには人員の余裕があるから、本国で未曾有の非常事態が起こったら何人か引きはがされる可能性がある。余裕があるといっても、まさかUK版2ちゃんねる見て遊んでるわけないから、ミャンマーにかかわる手間が縮小される(かもしれない)。そして上記事情から、引き離される人員は、通商関係の経験やセンスのある人間が中心になるだろう。その方面でのUKのプレゼンスは低下する(かもしれない)。その一方で、カチンだカレンだモンだといった少数民族に永年深い人脈をもって情報がとれる人物、平たくいえばミャンマーでしか使い道がない人物は存知されて政治情勢の情報収集は割と保たれそうな気もします。アウンサンスーチー氏をサポートする体制はあまり変化ないかもしれません。

4.国会議員たちの頭はEU28か国に行ってしまい、ミャンマーってそれどこ?状態になる(かもしれない)

 ボリス・ジョンソン氏が首相になるとして、ミャンマー訪問は何年後になることやら。
ロヒンギャ問題が進展しないことも、どうでもいいことになる(かもしれない)。

5.UKのプレゼンス低下した部分に突っ込むのは中国か日本かはたまた・・・
いま現地で角つきあわせている日中両国。中国が政治的プレゼンスをさらに伸ばそうと野心は間違いなく考えるでしょうから、これは難事になります。

 

大使館HP。領事情報が中心。
投獄されたらどうなるとか、投獄された人を助けることは出来ませんとか。。。
ミャンマーで悪いことしてぶちこまれる輩がそんなにいるのか・・・

British Embassy Rangoon - GOV.UK

Burma – Prisoner Pack - Publications - GOV.UK

 

UK-ミャンマーの特別な関係について 
independent紙の記事

Leading article: Britain and Burma - a special relationship | Editorials | Voices | The Independent

ブリカン(ブリティッシュカウンシル)
こういうのはあまり変わらないでしょう。〇年後国家財政が本当に苦しくなったら縮小はあるかもしれないけれど、それだって極力維持してゆくはず

British Council | Burma

 

 

 

 

 

アウンサンスーチー氏の移動手段はこんなだった!と勝手にアップしてしまうミャンマーマスコミにも驚

これはMizzima紙のフェイスブックページにいきなりアップされた写真です。記事はなく、単なる個人の頁から転載。タイ訪問から帰路機内での隠し撮り写真。

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クレジットは単に「Suu Kyi has been found on the plane returning from Thailand.(原文ミャンマー語。グーグル翻訳)」だけ。「国家元首の上に立つ人」を勝手に撮って個人ページにアップしたのを、マスコミが使ってしまうというのもビックリですが、驚いてばかりいないでじっくり読み解いてみましょう。

1.飛行機と座席
ミャンマー航空が使っていないワイドボディ機バンコクに飛んでるのはタイ航空。
可動式枕と厚み、座席はビジネスクラスですね。日本の首相が韓国へ行くのに大韓航空ビジネスクラスで行くようなものか。東京都知事の教訓を学んでこうしたとのことです。まあ冗談はともかく、交渉相手国側のフラッグキャリアで行くということは、座席に盗聴器を埋め込まれて筒抜けになるかもしれないというのは、ちょっとでも大使館で勤務した人間にはすぐわかることであり、ロジ計画した人の脇の甘さは驚愕のレベル(あるいはひょっとして、ある種の思惑があってわざとそうした?)。

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2.警備体制の不安
警備体制には非常に不安をおぼえます。タイ航空近距離用ビジネスの座席図は上のとおり(Seat expert。画面両脇にエアチャイナの宣伝写りこんでうっとうしいですが、座席図はタイ航空のA330近距離バージョンのものです)。

アウンサンスーチー氏をE席に座らせ隣のF席に男性用心棒。が、その中年男性は目を閉じて寝ているように見えます。アウンサンスーチー氏や周囲の人にまったく目が配られていない。どうやらプロのSPじゃなくてNLDのシロウトのようです。

さらに、この写真の盗撮主は同じ並びのA席に座り、B席のお連れ様を前かがみにさせて撮っています。つまり、本来SPか側近を置いておくべき同じ並びのAB席をおさえていない!知らない人が座って盗撮してる! いやはやなんとも・・です。

あるいはひょっとして、側近の反対をおさえて彼女自身がこういう警護体制にしているということなら、人気絶頂のなかで自分が暗殺されたり切りつけられたりのリスクは完全にゼロであると思い込んでいることになります。人を切りつける心理には、反対者とか憎悪だけじゃないということ、好きで好きで大ファンで振り向いてほしくて切りつけるという心理があり得るということ、AKB警護の人教えてあげてください。

アウンサンスーチー氏の身辺警護やロジには大いなる穴が開いているということを世界に発信してしまっています。これダメでしょMizzima紙!

ソースはMizzima紙FB

https://www.facebook.com/MizzimaDaily/

タイ訪問中の日本語報道はこちら

スー・チー氏、タイ訪問=ミャンマー人労働者と交流:時事ドットコム

ワ州の大親分がタイ警察に捕まってしまった。覚せい剤やケシ大量に所持

ミャンマーの違法薬物生産の親方衆のひとり、ワ州の司令官がタイ チェンマイで御用に。写真ではくたびれたおっちゃんのように見えるけれど、後ろに並んだタイ警察の人数が、下手人の超大物ぶりを表しています。

ワ州のWa National Organization (WNO)副議長MaMa氏。またの名をTat Ma Har氏。

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今回の罪状は、メタアンフェタミン覚せい剤)10㎏および26400錠、未精製のケシ7.5㎏の所持。また680万バーツの現金を所持していたとか。タイといえば麻薬系犯罪に厳しいので有名、ミャンマー人に厳しいので有名。麻薬所持で死刑判決、ミャンマー人相手だと冤罪(の可能性の高い)死刑判決を出してミャンマー中が大炎上してしまったのも当昨年紹介したところです。このワ州副議長の運命もおそらく・・・

なお、Wa National Organization (WNO)は、9つの少数民族軍からなるUnited Nationalities Federal Council (UNFC)の一角をしめ、まだ休戦協定(NCA)に同意していません。

今回、大親分のひとりが捕まってしまったワ族ですが、このケシ栽培地帯に長期間滞在しリアルなレポートが出版されています。私も割と最近手に入れて一気に読み進めました。ミャンマーの関心のある人にとっては、実に面白い本です。これを読んでから、もう一度このニュースに接するとさらに実感わきます。

アヘン王国潜入記| 高野 秀行| 集英社文庫(日本)|BOOKNAVI|集英社

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ソースはこちら

Wa Military Leader Arrested For Drug Trafficking

ご注意、ジカウイルス感染症は隣国のチェンマイまで来ています

ジカウイルス感染症。ブラジル中南米オンリーの流行じゃなくて、隣国タイでもしっかり流行地図に色がついているのは以前にも紹介しましたが、今回、チェンマイで確認されました。

チェンマイといえば、ミャンマーとの往来が多い場所。イラワジ紙の本拠があるのもここチェンマイだったりします。

今回確認されたのは13歳の男女。国外渡航歴はなくPhetchabun provinceに国内旅行歴があるのみ。どうやらタイ国内のあちこちでジカウイルス感染症の感染は発生しているようです。ミャンマーに入ってくるのは時間の問題と言う医療関係者は多いですが、それは陸路かもしれないし、ヤンゴン空港から堂々と入ってくるのかもしれない。

アンテナの感度をあげてまいりましょう。

Phetchabun provinceはこのあたり(Wiki )

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ソースはoutbreaknews

Thailand: Zika reported in Chiang Mai | Outbreak News Today

 

日本ミャンマー友好協会総会のスナップ

2016年6月18日、東京 大井町で日本ミャンマー友好協会の第三回目の総会・講演会・懇親会が開催されました。スナップ紹介。

総会に続いて田島元駐ミャンマー特命全権大使の講演で最近のミャンマー情勢のお勉強、そしてミャンマーの留学生や自営業のみなさんが披露してくれたミャンマー舞踊など楽しいひとときでした。

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まあ、これは”お約束の1枚”ですね。U Thurain Thant Zin駐日大使とツーショット。

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当日撮った写真を見てみたら、大使とのツーショット以外、きれいなおねえさんの写真ばかりいっぱい・・・でした。う~ん赤面。

それでも観察所見はひとつあって、駐日大使とミャンマー人留学生の関係、ずいぶんフランクです。大使はもう、本当に同じ目線で若者たちに声をかけていて、若者たちは楽しそうに話している。その空気からは明らかに、「在日ミャンマーにとってもっともイヤな場所は北品川(大使館のこと)である」などという成書の記述は嘘っぱちに見えますし(まあ、書記官レベルでイマイチなのがいる可能性までは排除できませんが)、「少数の特異的な留学生が大使館にごまを擦っている」という雰囲気でも到底ありませんでした。同じ目線で楽しそう。この大使は総選挙前から東京にいる軍出身の人で、ミャンマー祭りでも増上寺をうろついてましたから、現外相兼国家顧問の任命でもありません。

ともあれ、日本ミャンマー友好協会のHP、入会方法はこちらになります。

日本ミャンマー友好協会

「北部シャン州における危険レベル引き上げ」というメールに見覚えのない人は大使館MLに今すぐ登録!(日本の本社担当者もね)

今日、ミャンマーについての海外安全情報(危険情報)の発出 【シャン州北部の危険情報を「レベル1」から「レベル2」へ引き上げ】と題したメールが届いていない人、今すぐ大使館メーリングリストに登録いたしましょう。

ミャンマー生活を送るうえで欠かせない、危険情報。大使館メーリングリストに登録すると送られてきます。今回の発進はシャン州北部の話、まあ、ヤンゴン駐在の方で積極的に”シャン州北部”に行きたい人関係のある人はマレだと思いますが、いつなんどき、ヤンゴン中心部で危険情報が出てくるかわかりません。いつぞやのように、スーレーの真ん前で発砲が起こったり、スーレーシャングリラのバスルームで爆弾がさく裂したりなどなど・・・

とりあえず今日、「シャン州北部がなんだって???」と言ってる貴男貴女、いますぐ登録して、将来、いざヤンゴンで・・となった時に情報をキャッチできるようにいたしましょう。いまミャンマーにいる人だけじゃなくて、ミャンマーに社員を出張や駐在させてる本社の人も必要です。

方法:

1.大使館HPにアクセス

http://www.mm.emb-japan.go.jp/profile/japanese/

2.「領事情報」のところをクリック。
在留邦人向けメールマガジン配信サービス  ①新規登録 ②登録情報変更 

をクリックして登録画面へ

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参考まで、本日の発信 
●シャン州コーカン自治地帯:「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続) 
●カチン州ライザー周辺:「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続) 
●カチン州(除く,ライザー周辺):「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(継続) 
●シャン州北部(除く,コーカン自治地帯及びラショー,チャウメー,ティーボーの都市部):「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(引き上げ) 
●ラカイン州:「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(継続) 
●シャン州北部,カチン州,ラカイン州を除く全土:「レベル1:十分注意してください。」(継続)

ミャンマー軍がドローンをバンバン飛ばしているらしい

ミャンマー軍が中国製ドローンを導入してシャン州やカチン州でバンバン飛ばしてるらしいと、ジェーンズ年鑑にバンコクベースの軍事専門家が分析しています。

 

バンコク在住の軍事専門家、Anthony Davis氏の分析。

ミャンマー軍が中国製ドローンCH-3Aを採用。空対地ミサイルや爆弾も搭載可能な軍事用ドローンで、シャン州ラショーやカチン州バモーの基地に配備。ミャンマーで軍事用ドローンが最初に使われたのが昨年コーカン軍(MNDAA)との騒動のとき。偵察任務でも多いに能力を発揮しているようです。

たしかに山間ゲリラ相手ではさぞ有能なことだろうと思われます。

この写真は2015年7月の記事。ミンアウンフライン将軍がインド訪問したときですが、インドの武器商人たちがドローンを売り込んでいる証拠写真が将軍のFBにアップされていました。が、この部分は成功せず中国がゲットしたようです。

ともあれ、ミャンマー山岳地帯で、ドローンは新たな地平を切り開いてゆくのでしょう。

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ソース:事実関係はイラワジ紙

http://www.irrawaddy.com/burma/burma-army-deploying-armed-drones.html

写真ソースはミンアウンフライン将軍FB

Senior General Min Aung Hlaing

 

www.myanmarinfo.jp