ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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UKのEU離脱騒動はミャンマーにどう影響するのか

BREXIT、UKのEU離脱騒動はミャンマーにどうかかわってくるのか。
「かもしれない」話ですが思いついた範囲で。

1.UKの外交官と通商当局者の手間が今後膨大に取られる

 まずEU離脱にあたりUKがやらなければならないことがこちらのサイトの列挙されています。

www.buzzfeed.com

主たるものとして
1.フランスやドイツなど27の他のEU加盟国と、個別に新たな貿易協定を締結する必要がある。
2.リスボン条約第50条により、2年間で離脱しなければならず、その間に他の加盟校とさまざまな合意をしなければならない。
3.独自の法律を膨大に立法しなければならない(ファイナンシャルタイムズ曰く「英国政府は1972年以来、EUから派生する法律に頼りすぎてきた。これらの法律の置き換えには、何年もかかるだろう」)

4.EU以外の国と結んでいる53の自由貿易協定を結びなおさねばならない。

があります。

さて、ここで問題、この作業をやるのは主として誰でしょう?
外交官と通商官僚です。そして3.は国会議員
つまり、UKの外交官と通商官僚と国会議員の手間が天文学的に取られる。

2.UKの外交官は日本に比べれば圧倒的に恵まれているけれど、それでも絶対数は限られている。

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これは主要国の外交官数です。人口あたりの外交官数は日本の3倍と非常に恵まれていてふんだんに税金が投入されているのが大英帝国以来この国の伝統です。
しかしながら、絶対数では日本の5300人に比べてUK6900人。約3割多いものの桁が違うほどではない(米国は2万2千人なので桁が違う)。この、日本よりせいぜい3割程度多い人員が、EU28か国に優先的に振り向けられ天文学的作業にあたります。

3.ミャンマーに振り向けられていた人員は引きはがされるかもしれない
 ミャンマーはいうまでもなくUKの旧植民地でした。そうでない国に比べて比較的潤沢に人員が割り当てられています。たとえば私がスーダンに在勤していた頃、UKの大使館は日本大使館とはくらべものにならない規模で売店も大充実、スーダンでは手に入らない先進国水準の食料品や日常生活物資を他国の外交官にも購入する権利を与えていました。私自身、その入場許可証を手に「通称英大売店」に行ったものでした。
つまり、旧植民地のポストには人員の余裕があるから、本国で未曾有の非常事態が起こったら何人か引きはがされる可能性がある。余裕があるといっても、まさかUK版2ちゃんねる見て遊んでるわけないから、ミャンマーにかかわる手間が縮小される(かもしれない)。そして上記事情から、引き離される人員は、通商関係の経験やセンスのある人間が中心になるだろう。その方面でのUKのプレゼンスは低下する(かもしれない)。その一方で、カチンだカレンだモンだといった少数民族に永年深い人脈をもって情報がとれる人物、平たくいえばミャンマーでしか使い道がない人物は存知されて政治情勢の情報収集は割と保たれそうな気もします。アウンサンスーチー氏をサポートする体制はあまり変化ないかもしれません。

4.国会議員たちの頭はEU28か国に行ってしまい、ミャンマーってそれどこ?状態になる(かもしれない)

 ボリス・ジョンソン氏が首相になるとして、ミャンマー訪問は何年後になることやら。
ロヒンギャ問題が進展しないことも、どうでもいいことになる(かもしれない)。

5.UKのプレゼンス低下した部分に突っ込むのは中国か日本かはたまた・・・
いま現地で角つきあわせている日中両国。中国が政治的プレゼンスをさらに伸ばそうと野心は間違いなく考えるでしょうから、これは難事になります。

 

大使館HP。領事情報が中心。
投獄されたらどうなるとか、投獄された人を助けることは出来ませんとか。。。
ミャンマーで悪いことしてぶちこまれる輩がそんなにいるのか・・・

British Embassy Rangoon - GOV.UK

Burma – Prisoner Pack - Publications - GOV.UK

 

UK-ミャンマーの特別な関係について 
independent紙の記事

Leading article: Britain and Burma - a special relationship | Editorials | Voices | The Independent

ブリカン(ブリティッシュカウンシル)
こういうのはあまり変わらないでしょう。〇年後国家財政が本当に苦しくなったら縮小はあるかもしれないけれど、それだって極力維持してゆくはず

British Council | Burma