ミャンマーから日本に帰国してパラチフス感染が確認されるケースが目立っており渡航医学界隈の話題になっています。日本で診断されたパラチフス症例の過半数がミャンマー帰りです。パラチフスの紹介。ミャンマー滞在中ご注意を!
日本の国立国際医療研究センターから発表された論文。2014-15年に日本でパラチフスと診断された31例のうち過半数54.8%がミャンマー帰りで、そのうち6例が同センターの受診。いずれもビジネス目的の渡航ですから、まさか少数民族地域の森林へ分け入った・・・とは考えにくくヤンゴン・ネピトー・マンダレーあたりでしょうか。当サイトにお越しいただいている皆様と同様の行動様式・範囲かと思います。
パラチフスの感染は・・・
原因となるパラチフスA菌は感染者の糞便に出てきます。それが口から入ると感染への第一歩。なんで糞便に入ってる細菌が口から入るの? 私はそんな特殊な趣味は持っていないから大丈夫!? ではないのです。たとえば。。。
この写真はヤンゴン環状線パヤーランブーダー(駅)ホームに開店しているお店です。プライムヒルセンターの最寄り駅かつボージョーアウンサンマーケット直結ホームですから、通りかかった方も多いでしょう。ホームの西端、この周囲には水道がありません。ではこの中年女性はどうやって手を洗うのか。バケツにちゃぽちゃぽ手をつければ良い方でしょう。その手でモヒンガーをひょいとお皿に盛ってニッコリ笑顔で渡してくれます。そう、水道のない屋台がホームや道端に花盛りのヤンゴンでは「糞便中の細菌(ウイルスも)が食物にくっつく」シチュエーションがあちらでもこちらでも日々展開しているのです。
さらにCook it, boil it, Peel itをモットーに
自分はそんなところで飲食しないよ、基本自炊だよという方も多いと思います。
そこでのモットーは煮て焼いてむいて。熱を通せるものは熱をとおして生食は避ける。
果物は皮のついたもの(バナナやかんきつ類)を買ってきて自分でむいて食べましょう。
パラチフスの症状は・・・
パラチフス菌が口に入って1~2週間ほどで症状がはじまります(潜伏期)。高熱・徐脈(脈が遅くなる)・脾腫(脾臓が腫れる)などの症状とともに、こじれると腸に穴が開くというややこしい事にもなりえます。そこまでこじれなくても、下痢と発熱はミャンマーの気候下では脱水につながります。点滴が必要になることも再々。もしかして・・と思ったらビクトリア病院やSOSへゴー!です。
日本に帰国してから「もしや・・・」と思ったら
なお、日本に帰国してから「もしや・・」と思ったら、日本渡航医学会の「帰国後診療医療機関」を参考に受診してください。
国立国際医療研究センターから発表論文