ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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アウンサンスーチー氏が国連演説に現れなかった深いワケ

アウンサンスーチー氏がロヒンギャ問題の渦中、NYの国連本部に現れず副大統領を代理で派遣したことが欧米人権屋さんたちの非難の的のひとつになっています。しかし、あのときアウンサンスーチー氏が離れていたら、非常事態宣言やらクーデターが起こって国がひっくり返っていたかもしれなくて、NYに行かなかったのは正解だったという見方も。

イラワジ紙の興味深い分析。ロヒンギャ問題の渦中で国連本部に現れ演説をしなかったことから、激しい批難を避けたのだろう(逃げたのだろう)という人権屋さんたちの非難は的外れなのではないかという話。

あの当時、もともと影の薄いティンチョー大統領はミャンマーを離れてバンコク病院に入院中でした(バンコク病院の優秀さはこの業界ゆえ重々承知しておりますが)。建前上とはいえ、一国の国家元首が外国で入院していることが、こんなに知られていないという影の薄さもあんまりですが、それはそれとして。

そうすると、職務代行者はこの人になります。なにやら日本のメディアを騒がす北の国の、先代お父様を思い出す風貌ですが、実のところ無関係のミンシュエ氏です。軍事政権時代にもタンシュエ氏に可愛がられていたぐらいの、強硬な人です。
MyintSwe

この人が国家元首職務代行者となると、アウンサンスー・チー氏もティンチョー大統領も不在中に、ラカイン州に非常事態宣言を宣言して暴走してしまうのではないか、だから、いまミャンマーを離れられなかったのだという説です。

ウォッチャーや駐在外交官のあいだで、クーデターの噂は絶えないともあり(Among diplomats and observers, there are still rumors of a coup.)つまり、軍とのあやういパワーバランスが、国連本部に行くことを客観的に許さなかったということになれば、今後も、この程度の不可解なことや誤解招きそうなことは起こってゆくのでしょう。

今後のミャンマーウォッチングに欠かせない視点です。

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