ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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ヤンゴン郊外でさえ「エクソシスト」が健在なことが分かった一件

アフリカ奥地ならともかく、「えっ、ヤンゴン郊外でこんな事が・・」と絶句するような事件。この地区には呪いがかかっていると言って魔術師が子供を殴る蹴るの撲殺してしまった!

場所は国境地帯の密林でもなんでもなく、ヤンゴン南郊Twante。

エクソシスト」の男が、この子供に呪いがかかっていると言い出して、トランス状態におかれた住民たちの目の前で、3歳児に殴る蹴るの暴行を加えて殺害、遺体を付近の運河に捨ててしまいました。さらに取って返し、別の女児たち3人に暴行を加えうち2人を撲殺。

被害児のおじの証言によれば、この「エクソシスト」が住民に「聖水」を飲ませるや村人たちは正気を失い、村人たちが車座になった真ん中でこの”儀式”がおこなわれたとか。

もちろんミャンマー警察はこの「エクソシスト」の男を殺人と死体隠匿の罪で逮捕し、インセイン刑務所に放り込まれています。

さて、こういう事象自体は、世界中探せばぽつぽつと見つけることが出来ます。民間信仰のなかで「生贄をささげる」という発想は洋の東西を問わず存在します。管理人はさすがに人間の子供を撲殺する現場には遭遇したことがありませんが、牛ならあります。西アフリカのセネガル在勤中、知り合った伝統的治療師に連れていってもらった、ダカール郊外の治療儀式。生贄の牛をロープで地面に固定し、その上を患者さんに3往復渡らせます(患者さんにとりついた悪い霊を牛の内臓に移すのだという説明)。そしてナイフで牛の頸動脈を切断、洗面器に血液を受けつつ牛さんは息絶え、その血液は患者さんの体に塗りたくるという次第。文化人類学の文献をひもとけば、こういう儀式は結構共通してあちこちにあります。

しかしながら、今回の発生は「ヤンゴン郊外」という部分が驚きを隠せない部分です。先進国から投資がどっと流れ込み、大渋滞まで発生しているヤンゴンの郊外で「呪いのかかった子供の虐殺」がおこなわれ住民全部がトランス状態になってしまう。

ミャンマーの不思議の国ぶりは、まだしばらくは健在なのでしょう。

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