デング熱。感染者数が激増し、今年前半ではやくも1万人超。死亡例も45例でており、今後のなりゆきが懸念されます。
昨年東京代々木公園の発生で三桁の数字が日本の報道をにぎわせたデング熱、ミャンマーでは桁2つ違うわけですが、今年の数字は昨年2014年同期を約4割上回っており、当たり年だった2013年に接近しています。保健大臣は「最大規模の発生」と。
感染者数10918例。死亡45例(うち5月18例、6月19例)。
前年2014年との比較では、年始~5月26日の期間で、2014年3667例(死亡8例)に対し今年は5092例(死亡17例)。
↓いまは構造物が建っていますが、サクラタワーから東に徒歩3分の工事現場はこんな風でした。工事現場は塀で囲まれると外から見えません。ヤンゴン中にこういう処があるわけです。
【デング熱のキホン】
デング熱は蚊によって媒介されるウイルス疾患。媒介するのはネッタシシマカ・ヒトスジシマカ。通称ヤブカ、教科書的には屋外の藪にいるのが基本ですが、家の中にも入ってくる!という証言はヤンゴンでも多数。蚊にかまれない対策(蚊取り線香・蚊帳・リペラント・長袖・長ズボン)は基本です。
症状は発熱・筋肉痛・関節痛・頭痛から少し経って発疹などですが(これだけで済むと軽症の扱いですが、経験者に聞けばトンデモナイ!死ぬほどつらかった!と怒られます)、重症化すると出血傾向(消化管出血など普段出血しないところからも出血)や多臓器不全の可能性もあります。通称デング出血熱。
診断は、NS1抗原という簡易検査があり、ビクトリア病院でそれが備えてあるのは私自身、確認しました。
治療は解熱剤や脱水予防などの対症療法になります。特効薬はありません。
ワクチンはまだ実用化されず、近々治験が始まるものの、ヤンゴンでふつうに受けられるのはまだまだ先の話と思われます。
ミャンマーでは2013年の大流行後、2014年は多少おとなしい数字でしたが2015年はまたぞろ勢力を盛り返してきています。
デング熱対策は、媒介する蚊をいかに減らすかがカギで、シンガポールなどは国民に義務付け、やっていないと罰金ということで効果をあげていますが、ヤンゴンでは下記のごとき光景が日常的に展開しています。個人的に蚊に刺されない防衛策が中心になります。
↓ヤンゴン環状線のミンガラドン駅。区間列車折り返し駅、山手線なら大崎、大阪環状線なら京橋or天王寺に相当する場所。雨季は水たまりが乾くひまがありません。この水たまりには泡がわいていた(生物がいる)
ミャンマーの現地の大人は感染を経験し、ほとんどが抗体をもっています。まだ抗体をもっていない小児科領域が主たる患者。したがって、ミャンマー人が「デング熱?あれは子供の病気だよ」と言っている感覚につられてはいけません。我々日本人はしっかり蚊対策をしましょう。