日本に麻疹(はしか)が輸入されるとき、その火元はどこか。日本の国立感染症研究所が公表しているグラフ、今年に入ってミャンマーが第3位にランクインしています。
日本では2015年にWHOから麻疹排除認定を受けています。これは日本国内に(土着の)麻疹が存在しないことを認定されているもので、実は先進国としてはかなり遅い方ではあったのですが、ともかくも、日本に定着した麻疹はすでにありません。
したがって、日本国内の麻疹はすべてが国外からの持ち込み(日本人の海外旅行客が旅先で感染したか、外国人インバウンドが持ち込んだかは統計上区別されていない
)になります。
では、どこの国から入ってくるのか・・・グラフを御覧ください。
伝統的に(?)日本へ麻疹を輸出する国といえばインドネシアとタイが代表的でした。しかし、2019年にはいって(右端のグラフ)絶対数が増えてグラフがぐっと高くなるとともに、その顔ぶれは フィリピン>ベトナム>ミャンマーとなっています。
このグラフの上では、桃色のミャンマーは2019年にはいって初めて登場しています。
昨年からヤンゴン郊外で流行した麻疹、今年の2月にはワクチン接種キャンペーンがミャンマータイムズ一面トップ記事になったりしています。
実際、トップのフィリピンでは、死亡例だけで200例超えたり、流行地では非常事態宣言が出たり、保健大臣が会見で収束を「祈っている」といかにも頼りないコメントを出してみたり・・・と珍光景が続出しています。さらに、世界に先駆けておこなわれたデング熱ワクチンの治験が失敗したことが尾を引きフィリピン人の親たちにワクチン敬遠ムードが広がり(まったく関係のない)麻疹ワクチン接種率に影を落としたということもありました。
こうしたフィリピンの珍光景に比べればミャンマーではまだ比較的落ち着いており、医師たちと話した感覚でもフィリピンよりは状況は良いようです。
とはいえ、これからミャンマーに渡航される方は、麻疹を含んだワクチンを2回接種しているかどうか、確認の上、まだであればぜひ接種を完成していただきたいと思います。