ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

follow us in feedly

ミャンマー総選挙、話題は選挙後の連立へシフトと報じるけれど・・・ジャーナリズムの未熟さよ

いよいよ明日8日投票となったミャンマー総選挙。話題は選挙後にシフトしつつあります。アウンサンスーチー氏が「傀儡大統領をたてて私が大統領以上の存在になるわ!」と叫んだことはすでに日本の報道にも載っているところであります。

開票がすべて終わるまで3週間かかるそうですが、まあ、これは途上国では時々見られる話なので、ものすごくビックリという程でもありません。その3週間、そしてその少し後まで死人を出さずに済んだなら、それだけで途上国平均点よりは高い点数を差し上げられるものです。

ミャンマーの政党は、テインセイン大統領のUSDPと、アウンサンスーチー氏を大将にいだく寄り合い所帯NLDがすべてではありません。少数民族がそれぞれに政党をたてて闘ってきました。

NLDが圧倒的地滑り勝利するのかといえば(ミャンマー現地紙の写真ばかり見てるとそういう印象に陥ってしまうのですが)、事実はそうではないらしい。で、選挙後に、どことどこがくっついて支配権握るのか・・・という、まあ、どこの国でも一緒の多数派工作の現実的な話題にシフトしつつあります。

イラワジ紙の記事によれば、シャン族・カチン族・カレン族・モン族・アラカン族のそれぞれの政党が、NLDと組む方が良いと考えつつあるそうです。とはいえ、この新聞、オマエは赤旗かはたまた社会新報かってぐらい毎日真っ赤っ赤の政党機関紙状態なので、これはイラワジ紙の願望といったところでしょうか。(この新聞、写真のウデが抜群なので、その点、好きなのですが)

f:id:tabibito12:20151107192109p:plain

ここ1カ月ばかしのミャンマー現地報道を見ていて少なからずガッカリなのは、彼らの辞書には「バランス感覚」という単語が無いらしいこと、ミャンマージャーナリズムの未熟さを思いっきり天下に発信してしまっていたことでした。そしてそれは7Day journalしかり、Myanmar media groupしかり、Eleven mediaしかり(以下同文)、たとえば、日本の朝日新聞自民党維新の言い分をたまには載せ、産経新聞民主党の言い分をたまには載せる・・・というのは、まあ自明なことでしょう(私は教育現場においてNIEという手法を時に使うので NIE 教育に新聞を 、朝日と産経の見出しを比べましょう・・なんて事をやったこともありますが、ミャンマーメディアに比べりゃまあ誤差範囲内みたいなものです)。

たとえば当サイトの選挙ネタは何回かありますが、

www.myanmarinfo.jp

www.myanmarinfo.jp


このような赤い写真と緑の写真を交互に並べようとすれば(私の友人たちには軍医さんたちもいれば、白衣に黒リボンをつけて気勢あげる先生方もいるので、当然、バランス感覚を意識することになります)、いくつものサイトから引用してこなければなりません。朝日だけ、読売だけ、毎日だけ、産経だけ、日経だけで両方揃うようなことはこの国ではない。

ミャンマーの情報収集には、一筋縄ではゆかぬ、でも、行間をひねくり回してパズルを解くような面白さもあります。これから1か月起こることをウォッチしてゆきましょう。