アウンサンスーチー顧問もティンチョー大統領も、施政方針をなかなかマスコミにコミュニケーションしないなか、意外や意外にも、プレスときちんと向き合うのはミャンマー軍トップのミンアウンフライン将軍でした・・・という展開。会見を何時間も延長して会見後茶話会まで開催。民主政権と協調してゆくと表明、そして自身の引退説を否定。
2016年5月13日にネピトーで実施されたミンアウンフライン将軍の記者会見。これからの方針、民主政権と協調してやってゆくと表明しています。
また同氏は今年60歳の還暦を迎えることから、引退説がささやかれていましたが(注:ミャンマーでは60歳定年が通常で私の知人の教授たちもほぼ例外なく60歳で大学を辞している。したがってこの噂はまったく突飛でも何でもない)、これを明快に否定して続投を表明しました。おそらく2020年頃までやるだろうとも。
irrawady紙スクリーンショット↓
出席したイラワジ紙記者によれば、予定時間を何時間も延長し、なんでも答え、会見の後はティーパーティーで談笑、冗談も出ていたと、軍事政権のイメージが吹っ飛んだ状況だったとか。(日本の防衛省記者クラブよりフランク?)こういう形での記者会見自体、まだアウンサンスーチー氏もティンチョー大統領も実施しておらず、メディアコミュニケーションは一歩先行した形。
さらに、将来の憲法改正の可能性まで言及し(当然反対だろうと思っていた)記者たちを驚かせたりしています。
写真:ミンアウンフライン将軍FBから
昨今の、アウンサンスーチー氏とミンアウンフライン将軍との心地良い関係の背景には利害関係の一致がるとはイラワジ紙の解説。
将軍側からは、アウンサンスーチー氏が米国の経済制裁解除へのキーを握っていること。軍系企業や個人で米国の制裁対象に残っている部分の解除、また、米軍との協力などでアウンサンスーチー氏の協力はぜひともほしいところ。
アウンサンスーチー氏側からは、もともとミャンマー軍は父親アウンサン将軍が創設した「お父ちゃんの軍」という経緯、父親が少数民族との和解をめざして召集したパンロン会議の現代版、少数民族との和平を実現するにあたり軍の協力が必要。。。
ただし、この蜜月関係が問題点をもたらす可能性も秘めている。この2大ポリティカルパワーの蜜月が続けば、少数民族の反発を招いてくるかもしれないとも指摘されています。
アウンサンスーチー氏とミンアウンフライン将軍はうまく利害の一致する面があり、そこでアジア的あいまいさで折り合いをつけながら(アラブの春などとは全く違う展開で)それなりにうまく二人三脚が成立してゆきそうです。やっぱアジア人は賢いなあ。
ソースはイラワジ紙
Army To Rebrand Itself As New Political Reality Sets In
ミンアウンフライン将軍フェイスブック
Excerpts from the meeting with local... - Senior General Min Aung Hlaing | Facebook
もともとミンアウンフライン将軍は、(それまでの軍事政権の先輩方と趣を異にして)海外メディアと積極的に会って来た経緯があります。そしてそれを自らのフェイスブックにバンバンとアップしてしまうのも外野には面白いところ。
我らが朝日新聞の支局長もこの通り!
前政権時の朝日のインタビューは(朝日新聞紙面じゃなくてミンアウンフライン将軍フェイスブックの方で)Q&A全文が公表されてしまいました。以下全文
Senior General Min Aung Hlaing