新投資法の制定にともない、MIC・JICA・共催のミャンマー投資セミナーが東京・大阪と開催されMIC高官が東京・大阪と説明行脚。MIC事務局長兼投資企業管理局長AungNaingOo氏をメインに、天然資源環境保全省KinMaungYi次官とともに。そこで語られていることをかいつまんで紹介。
登壇はミャンマー側の2氏(予定では駐日大使も入っていましたが大阪はドタキャン)に加え日本側からDICA上田アドバイザー、松井・眞鍋専門家、ティラワMJTD梁井CEOといった面々。
会場は席が大体6割ほど埋まった感じ。会場自体が大きいので人数としてざっと目分量180人ぐらい集まってる感じでしょうか。まずまずでしょう。
会場の雰囲気は、ミャンマー側の話は10分ほどたつと御覧のよう半分ぐらいの人がコクリコクリと居眠り、パネルで日本人が話すと(特に弁護士さん)しゃきっと起きて、ティラワの関西人が話しだすと歯車が合うという感じ(同時通訳はちゃんとしてたのだけどなあ・・・)
つまり、ミャンマーと聞いただけで条件反射的に目をぎらつかせるという、ちょっと以前の雰囲気とは異なり、「基本はもうわかってるから聞きたいこと・知りたいことだけ知識をゲットしたい」というある程度ペースをつかみつつある雰囲気といえるでしょう。
中身をかいつまんで紹介。(注:以下は、「会場で聞いたこと」を羅列しただけです。一応配布資料を確認はしておりますが、内容を保証するものではまったくありません。投資は一次情報を確認し自己責任でお願いします)
- 新投資法。これまでの外資法と内資法を一緒にまとめた。
- ネガティブリストの制定。ここに指定された業種はきつく制限。
禁止:危険・毒性・未試験の技術・環境破壊・公衆衛生へ駅用・他の法律で禁止されているもの。
制限:政府に限られ民間は不可のもの(例:送電など)・外資に制限されるもの・JVのみのもの
特別:議会承認の要るもの・治安・環境・国益・経済に大きく影響するもの(これはミッションダムの件に懲りて設けられた規定とのこと) - ネガティブリストに指定される業種は約100→200に増えたが、これは単純に厳しくなったというより、できるだけ細かい点まで盛り込んでグレーな部分を減らしたものである。
- 苦情処理制度の確立
- MICの認可が必要なもの
情報通信・医療・バイオ・都市開発・資源・メディアほか
政府と協働で2千万ドル超・国境紛争地域・国境をまたぐもの・1000エーカー超の農地を占有するもの・非農業で100エーカー超占有 - これまでとかなり感じが違うのが、〆切をしっかり規定したこと。投資予備審査は10営業日以内に回答(と明記)。本審査は60日以内に認可、さらに10日以内に許可発給(不認可は15日以内に通知)
- 課税の猶予期間(Tax holiday)はZone1,2は7年間、Zone3は3年間(と言っても、Zone1,2は投資というよりNGO活動の場所という方がふさわしそうな辺境が多い)
- 苦情処理制度の確立
- MICの認可が必要なもの
情報通信・医療・バイオ・都市開発・資源・メディアほか
政府と協働で2千万ドル超・国境紛争地域・国境をまたぐもの・1000エーカー超の農地を占有するもの
非農業で100エーカー超占有するもの - これまでとかなり感じが違うのが、〆切をしっかり規定したこと。投資予備審査は10営業日以内に回答(と明記)。本審査は60日以内に認可、さらに10日以内に許可発給(不認可は15日以内に通知)
- 海外からミャンマーへの投資、2015/16をピークに2016/17年は少し落ちている。ただ、17/18年は持ち直す見込み。
- これまでMIC認可と土地長期利用権がセットになっていたので(両方同時に取得する必要があり)ミャンマー投資の難しさにつながっていた。今回、切り離されて使いやすい制度になった。
- 新投資法は経済特区法(SEZ法)とは別もの。たまに混同している社がある。SEZ法は前テインセイン政権時に改革一気にすすめ規制緩和をする仕掛けとして設けられたもの。
- アウンサンスーチー政権になって、MICの地方分権化の意思がある。管区/州レベルへと。現時点ではまだ地方側が慣れていないので、まずはendorcementなど軽い承認から初めている。
- ティラワ。2011年時点の様子と現状の画像、第一期進出企業一覧、第二期も3社決まっている等。工場建設は基礎工事が雨季に入る前に終わるよう計画する必要。ミャンマーの降雨量2800(大阪1300の倍)が5月からの雨季にどっと集中する。基礎工事現場が海になってしまう。
これまでしっかりした規定がなく、人治主義的なことの紛れ込む余地や誰も分からないことがあった部分が、かなりクリアに明文化された印象です。しかしまだ完全ではない部分は、パネルのやりとりでも感じられました。
日本側の話は弁護士のJICA専門家が非常に的確な発言された(この方の話を聞くだけでも来る価値があったと思った人はいるでしょう)一方で、ティラワの社長さんは「ミャンマーええとこ、みんなおいで」的楽観基調に満ち満ちていて、なんだかなーって感じ(ミャンマー人、良い人ばっかり!発言、こういうの本気にしてミャンマーで苦労してる人、現場でじっくり話を聞けば本当に多いんだけれど。多分この人社長サン扱いされて苦労してないんだろうなぁ。もっとも私だって(苦労した人々の話聞くことなく)ヤンゴンで自分を教授扱い持ち上げてくれる先生方の顔だけ思い浮かべれば、やっぱり同じ発言してしまうだろうなとも思うので、悪口はやめときましょう)
ともあれ、ミャンマー政府が着実に大きな歩みを成していることは間違いのない事実だと実感できる新投資法、日本の会社関係者も付き合い方を一歩心得てきていることも、会場の空気から感じられた一日でした。
新投資法の全文がCDで配布されました。
海外からミャンマーへの投資、3割ほど落ちてますが、今年度は持ち直しそうだとの説明でした。
こちらが一次情報、ミャンマー新投資法の条文です。pdf32頁。