来年3月からNLD主導政権で直面する難題のひとつがロヒンギャ問題。
ロヒンギャ族という言葉自体、ミャンマー人の大多数は使ってほしくないと思っていて、ベンガル人というのが文句言われない呼称です。ミャンマーでは違法移民とみなされ、つまり、正式に認められている135族の少数民族に入れられていません。正式にミャンマー人と認められていないので当然パスポートがとれるはずもなく、ホワイトカードという”半人前身分証明書”。
そんな彼らがNLDの勝利で(待遇改善の)淡い期待をもっています。NLDのWin Htein氏は(勝手にやってきたと一般にみなされている)一世はともかく、(たしかにミャンマーで生まれた)二世には国籍認めてもよいのではと発言したりも。
しかしながらこれはハードルが極めて高いお話。ミャンマー人の大多数が嫌っており、彼らの権利擁護はたちまち政治的立場を危うくする。ロヒンギャのみなさんが主として滞在しているラカインでは、今回の選挙でthe Arakan National Party (ANP)なるローカル政党が29議席のほとんどをとってNLDと対峙。NLDがロヒンギャの権利擁護を持ち出せばこちらから激しく反発が予想されるところ。
しかし国際社会からは、アウンサンスーチー氏がロヒンギャ問題の発言をしない(人権のスターと西側社会から見なされてる氏に対し、ロヒンギャ人権も解決してくれるのではとナイーブな期待を抱く西洋人は世界中にいっぱいいる)とせっつく向きもあり、気の毒なサンドイッチ状態です。
さらには、イスラム教徒をイジメたらパリみたいになるぞ・・・とカラ脅しをする自称IS支部を名乗る輩も出てきそうで、心理的影響もあるのでしょうか。
ラカインに負担集中しているのだから、他の州にもあちこちキャンプをつくって分散、ラカインの人々の負担軽減と不満ガス抜きを提案する人もいます。
この内患外憂な問題がミャンマーに不安定をもたらすことが無いよう願っています。