ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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ミャンマーの工事現場。なにが問題でなにを改善すべきか(練習バージョン)

ミャンマーの工事現場。その職場環境はいかなる状況か?労働衛生コンサルタント(受験生)の目から練習を兼ねて。

 ここのところ当ブログの更新が滞りまくってます。お越しいただける皆様には大変恐縮なのですが、1月中旬まで管理人が「お受験」状態にあるのがそのワケです。

労働衛生コンサルタント国家試験。産業医の上級バージョンみたいな資格です(まあ、口述試験でそんな事言ったらペケで、他人の求めによる報酬を得て安全衛生の水準の向上を目的に・・・と条文が出てこなきゃだめなんですが)。教授のお仕事には定年というものがあって、ミャンマー人のそれにはあと3年きっていて、我が職場のそれにも8年きっていて、だから人生次のステージに向けてあれやこれや考えはじめて・・・のワンノブゼムです。当ブログが滞りだした秋ごろの一次筆記はなんとかなって、次の口述の練習中。お暇な方はお付き合いを。

Q.あなたは、建設現場を職場巡視しました。その際、何を重点的にみますか?
あなたが巡視した現場はこの通りとします。あなたなら何を指摘しますか?

A. 作業環境管理、作業管理、健康管理面から観察します。
作業環境管理として、転落・転倒(⇐建設業の労災のメイン)対策をみます。本例では、安全帯が未装備です。また、ハーネス型がのぞましいので指摘します。足場の規格も検討します。また、熱中症対策を観察します。WBGT値の把握がなされているか(⇐多分やってない。28℃をこえると熱中症がぐっと増える)。WBGT値の低下の措置として、直射日光からシートや簡易な屋根等で遮ることが求められます。水分や塩分が摂取できるように設置することが必要ですのでチェックします(⇐これはあるかも。ないかも)。

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 セメントおよび塗料の塗布作業がおこなわれています。粉塵則、有機則の観点から観察します。使用する有機溶剤のSDS(⇐危険有害性や応急措置や10数項目について記された詳細な文書。日本では663物質について義務化。欧米はもっとすすんでいる)は備えられているか。表示項目は? 呼吸用保護具が装着されていません(⇐屋内事業所ではないので労基署に即怒られることはないが)。

作業管理は、作業手順、作業時間は定められているか(⇐多分やってない?)。個人用防護具は(防護服、防護メガネ)?

健康管理は。体調管理(熱中症のリスクは睡眠不足、前夜の飲酒:ミャンマー人の飲酒率は日本より低いけれど、キリンさんがあんなに頑張ったらどうなるんだろ)

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5S(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ)の不足が指摘されます。

安全衛生管理体制。衛生管理者の選任、安全管理者の選任。
元請け、下請け関係があるなら、元方衛生管理者は選任されてる? or 店社衛生管理者(小規模現場では、衛生管理者は本店や本社(支店・支社)にいて週1回以上現場巡視)が選任?  

アーク溶接がおこなわれるなら、屋外であっても粉塵作業の対象となっています。

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赤いTシャツのお兄さんが持ってる白いバケツ? 有機溶剤の表示(危険有害性クラス・危険有害性区分・ラベル要素)は書いてありそうですが、それを扱ってるお兄さんの手には「軍手」。ここは化学防護手袋だろうなあ。3人とも裸足もペケ。保護長靴!

足場鉄パイプの影がくっきり映っていますから、直射日光下で、おそらく熱中症リスクは1枚目の写真よりこちらの方が高いでしょうWBGT値。

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これはいったい何と何の線やら・・・ですが、これを設置したときの作業環境管理、作業管理は? ひとつの線に電流流れてる状況下で別の線を設置してたはずですが、絶縁手袋は着用されてた?作業標準は決まってた? 複数事業者が共同してたはずですが、元方事業者の安全衛生管理責任は意識されてた?

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こちらの現場は、昼間はさほど動かず、真夜中になると重機がハッスルして轟轟と動き出します(ど真ん前の「かつて昔の高級ホテル、いま3☆」が、隣のスーレーなんとかに手が届かない教授の出張予算にちょうど合うので常宿、毎回この角度で目撃)。大多数の労働者は夜間勤務。「過去6か月間に平均して1か月あたり4回以上深夜業に従事した労働者」に該当すると推測されますが、特定業務の健診はおこなわれてる?自発的健診の結果提出は認められてる?

【追記】
ミャンマーの産業現場、しっかりした処はしっかりしています。
たとえばミャンマービール工場。ここはミャンマー人教授のお友達関係で、キリンさんに把握されないところで(笑)、つまり日本人が待ち構えていないときに”素の状態”を見てきましたがしっかりしてました。

 

【追記】

労働衛生コンサルタント、2018.3.22付けで厚生労働大臣名入りの合格証をいただくことができました。応援感謝。教授が定年のあかつきには産業医事務所でも開くことにいたします。

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