ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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いま、フェイスブックで流れてきた「ミャンマーの一般庶民の気持ちをあらわす一枚」に見えてくる、西側テレビマンとミャンマー庶民の葛藤

いま、フェイスブックで流れてきた「ミャンマーの一般庶民の気持ちをあらわす一枚」つらつらと考えてました。西側テレビマンの考えることと、ミャンマー民衆の考えることのギャップ

私のフェイスブックには軍病院の教授から流れてきて、さらに元をたどると(ブラックリボン運動参加歴のある)ネピトー総合病院の先生(⇐これは”右も左も”を意味)、おそらくさらに元があるのでしょう。

自動代替テキストはありません。

 

ラカイン州ベンガル人(西側諸国人権屋さんたちはこれを”ロヒンギャ”と呼びますが、ミャンマー人の友達失いたくなかったらまあ口にしない方が良い単語)、アナン元国連事務総長率いる調査団が勧告を出した直後の8月24日、ラカイン州北部のにてミャンマー軍・警察の31ポストに同時多発大虐殺作戦を仕掛けまして、私のフェイスブックにも、学生時代の法医学の教科書もかくやという位、警察官やミャンマー軍人の惨殺ご遺体の写真が流れこんできました。頸動脈が胸部大動脈がパックリ10~20cmほど切創挫創、私が見たところ極めて高能率に急所を抑え、訓練されたプロの仕事です。

これまでの経緯含めて割と要領よくまとめてあるのが下に貼り付けたイラワジの記事ですのでご参照ください。

さてここから本論。上記イラストのポイントは、画面左下にあります。CNNやらBBCやら、いわゆる「ミャンマー人から西側代表とみなされているメディア」がベンガル人側の主張に一点集中しながら、ミャンマー軍や警察官が惨殺されているのは無視、このアンフェア極まることに怒っているという趣旨です。右側の惨殺遺体は、おそらく、今回の事件だけを表すのではなく、昨年10月にベンガル側が警察ポストを急襲して警察官9名を惨殺したことも表していると思われます。その後、ミャンマー軍は反撃に出ましたが西側メディアはいわゆるロヒンギャ側の被害に立った画を送り続け警察官の遺体が載ることは(私が見た範囲では)気が付いていません。

そういう事になる理由は、テレビの世界に少々かかわると割とクリアです。資本主義国のテレビマンにとって常にプレッシャーとしてのしかかるのは、何より重要なのは、”数字”(視聴率)です。国営放送といえどもおなじ。それぞれの局、番組の視聴者が求める”型”にある程度合わせる必要。軍や警察の人がざっくり切られちゃうのは、一般庶民(ましてや、正式な国籍なく、難民船に押し込まれたり、人身売買被害者になったり対象ならなおのこと)が切られてしまうのに比べれば、一般論として、数字が取りにくいのです。もちろん、国家のために戦ってこうなった、とか別の因子がからめば違う話になりますが。欧米一般庶民にとってのミャンマー軍や警察をかつてスーチーさんをいじめたヒール役とする”型”を考えたとき、たとえば私がディレクターならカメラを軍や警察じゃない方に向ける誘惑と戦うのはシンドイなあと思うわけです。

しかし一方で、ミャンマーのマジョリティにしてみれば、欧米の人権界隈のみなさんがアジア人に向ける上から目線にはふつふつと溜まっているものがあるわけで、上記事情は間違いなく上から目線とうつるわけです。本来なら、ここで、我らがNHKや民放各社あたりが上記イラストの右側にカメラを向ければとも思うのですが、これも数字とれないだろうなあ・・・

 

https://www.irrawaddy.com/news/burma/death-toll-rises-rakhine.html

www.irrawaddy.com

 以前、ヤンゴン駅の横で見かけた西側テレビマン⇩

www.myanmarinfo.jp

 フェイスブックアカウントお持ちの方は現場写真をこちらミャンマー人のFBからご覧いただけます。日本のSNSなら閲覧注意のクレジット入れるレベルですので医療関係ではない方はご留意を。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=353862285034230&set=pcb.353862401700885&type=3&theater