ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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日本で騒動になった麻疹(はしか)はミャンマーでも要注意

今年2016年8月末から関西空港を舞台に日本中のメディアを賑わせた麻疹(はしか)騒動。これはミャンマーではしっかりと根付いた(土着の)ウイルスなので、在住の人も旅行の人も要注意。

日本については2015年3月27日にWHOが「排除宣言」を出しています。これは日本国内に根付いたウイルスはもう無いよというお墨付きですから、これ以降に確認された感染はすべて日本国外から持ち込まれたもの、およびその感染者からの二次感染に限られます。つまり日本は、はしかがない「清き国」ということです。とはいっても、清き国だ美しき国だと喜んでる場合ではありません。日本が清き国になって以降、国内でウイルスに接する機会は激減しました。自然に感染することが(ほぼ)なくなり、ワクチンを打っていなければ、「免疫なき無抵抗の人」になってしまいます。

では、「免疫なき無抵抗な人」がどこへ行けば危険なのか。いま、はしかが根付いた(土着の)国はどこか・・・

WHOの地図を見てみましょう。

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 いちばん濃~い焦げ茶色がついているのが中国・モンゴル・インド・インドネシア・マレーシア。2015年11月から2016年4月までの間に1000例以上発生しているグループです。

我らがミャンマーはと見てみれば、おなじ期間に10~99例。トップグループからは引き離されているものの、しっかり存在はします。実際に流行も時折あります。
この数字にしても、中央政府の権力が及ばぬ、砲弾飛び交うとまでは言わぬものの保健省の役人がとても立ち入れそうにない、映画ランボーに出てきそうな少数民族地区のジャングル村の発生まで含まれているとは考えにくいですから(つまり全部把握されているとは考えにくですから)、本当はもうちょっと濃い色が塗られるべきところなのかもしれません。

さて、WHOから麻疹排除宣言のお墨付きをもらった清き国から来た私たちはどうすれば良いのでしょうか。まず40代以上の人はまず大丈夫です。2008年までの日本は毎年、万の単位の感染者がいた”全然清くない国”でしたから(実際、2007年の流行では、お前ら本当に先進国か! と国際社会から怒られてた)自然に感染してふーふー言いながら抗体つくったグループ。そしてこの2007年に国際社会から怒られてワクチン2回接種の対策がとられて以降のグループは、(親がサボらずちゃんと予防接種を勧奨どおりにうけさせていれば)免疫をもっています。 そのはざまに抜けがある年代が20代後半から30代全般、そう、ヤンゴン駐在に多い世代と重なってしまうのです。

20~30代のみなさんは、母子手帳など確認したり親に確認したりして、2回接種をうけていなければぜひ接種をお勧めします。ヤンゴンでは主だった病院では接種うけられると聞いておりますが、一応確認してから行くのが良いでしょう。

はしかの詳細は

WHO | Measles Surveillance Data

麻しん・風しん |厚生労働省

ミヤネ屋で解説する機会をいただきました。こちらは日本国内向けに、今後、LCCの新規就航もありアジアとの往来がますます増えますから、輸入例が入ってくる可能性はいつでもあります・・・と説明しています。↓

情報ライブ ミヤネ屋 2016年9月6日 160906 [Polllak Mark] - YouTube

 

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