ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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「はしか」でバタバタ子供が亡くなる現実が明らかになった(ナゾの病気騒動の顛末)

先日紹介した、ナガ州で30人以上の子供が謎の病気でバタバタ亡くなっていることが国外からの報道で明らかになっている問題、顛末は麻疹(はしか)だったということで決着。

 

詳細は先日の記事をご覧いただくとして、ナゾの奇病が麻疹だったというのは、これはこれで大変ショッキングなことです。

1.そもそも麻疹に感染するという時点で、ワクチン接種が行き渡っていないことの証明。欧米先進国では、予防接種が行き届き、麻疹撲滅している。日本は先進国としては一歩遅れて(途中、カナダへ行った修学旅行生が旅行中に集団発生してカナダ当局に批難されるという国際的赤っ恥なんて歴史を経つつも)、なんとかWHOの麻疹撲滅認定に漕ぎつけている。しかしミャンマーナガ州では麻疹ウイルスが暴れ放題だということが分かった。

2.麻疹の診断能力がない。この病気にはコプリック斑だとか二峰性発熱だと発疹だとか、まあ30年前に卒業した管理人でさえ、学生時代に試験のヤマだっ!とネジを巻かれた(口頭試問で出てこなくてどやされた)思い出があるのですが、そういう知識が現地医療にはなく「ナゾの奇病」になってしまう。→血液検体を都会に送って初めてわかる

3.小児科の全身管理能力がない。麻疹だと診断できたとして、特効薬があるわけではない。発熱の管理、脱水の管理、重症化の把握、環境管理・・・ということがキチンとできれば、実は2.の診断の遅れは少々なら挽回できないこともない。麻疹と診断できてなくても対症療法やってるうちに持ち直す可能性。しかしこの部分もダメだったことが分かった。

 なお、この病気は小児期に感染もせず予防接種もせず(あるいは効力切れ)、大人になって罹るとかなりキツイことになります。ミャンマーで麻疹ウイルスが暴れ放題なことが明らかになりましたので、上記に該当する方はあらかじめ赴任前に接種受けられると良いかもしれません。

また、予防のひとつとして「ひとごみに入らない」ことも重要です。2014年米国LAのディズニーランドで、どこかの国から麻疹が持ち込まれ、その人込みで感染した人々が帰宅してカルフォルニア中に麻疹が発生してしまったという一大事件がありました(こういう大勢が集まる場所を介してというのをマスギャザリングといい、メッカ巡礼・オリンピック等々で公衆衛生関係者をにぎわせる一大テーマになっています)。ヤンゴン駐在では、人ごみを避けようという意志があれば、それは東京より容易なことでしょう。意識いただければと思います。

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画像ソース:近畿大学保健管理センター

麻疹の解説

麻疹(ましん)|目で見てわかる子どもの病気|子どものホームケアの基礎

ソースはoutbreaknews

Myanmar outbreak mystery solved: Measles behind deaths of 30 plus people in remote north | Outbreak News Today