ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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ミャンマービール工場で産業医の仕事をみた。実直な産業医に守られた良職場に見えるけど。。。

ミャンマービール。つい昨年、キリンビールが買収して大ニュースになったばかりで、ミンガラドンに広がる大工場には、大使を筆頭にちょくちょくと現地在住の日本人の皆さんも招かれているようです。が、「キリンの人」じゃなくて「ミャンマー人の伝手」で行くとちょっと違う光景が見えてきたりします。

ミャンマービールの医務室と産業医です。

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当ブログにもちょくちょくアップしてる教授、本拠の軍病院にうかがって研究打合せ、その後、ミャンマービールの工場が近くにあるから試飲に行こうというので、軍病院から10分ほどで着。

迎えてくれたのは見るからに実直そうな産業医、教授のお友達です。教授、名誉教授、私とでおじゃましました。

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ミャンマーでは労働省の規定で、従業員数250名以上の企業は産業医の選任が義務付けられています(日本は50人以上で選任義務付け、1000人以上は専属産業医が必要)。ミャンマービールの従業員数はこの工場だけで500人、全社で1000人ですから、日本と似た感じ。

ミャンマービールの産業医は、1名が月ー金まで8時間勤務。日本なら常勤扱いの時間数ですね。他にナースが1名。

職務内容は定期健診、採用時健診、必要に応じて外部医療機関紹介。健診項目はX線、血圧、BMIHIV、糖尿、コレステロール。「毎年HIVの検査があること」以外は日本と大差ありません。お腹のまわりに巻き尺あてるメタボ健診は無いみたいだけど、あれはニッポンガラパゴスだからね。あんなの無くていいです。

医療が必要になると、従業員には100万チャット(8万円ぐらい)上限とする医療給付があります。この額ではビクトリア病院など富裕層向け医療機関にはちと苦しいですが、ミャンマー人労働者としては比較的恵まれているほうでしょうか。

これまでメンタル系で対応迫られた事例はあまりなく、統合失調症が1例だけで、この国でしばしば問題となるアルコール依存症の事例はまだ無いとのこと。毎週金曜日は、無料で製品のビールを飲むことが出来るという従業員優待制度があるらしいですが、それでも、ビール工場で働くことはアルコール依存症のリスクにはならないようです。

工場をひとまわりしました。製造区域は「撮影禁止」の看板がたてられていて、写真はありません。が、清掃が行き届き清潔で、これならミャンマービール安心して飲んで良いだろうというのが感想。

災害ゼロ日を示す看板。この看板はやたら新しく、買収後にキリンの人が持ち込んだのかなと推測。

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さいごに試飲のビールをいただきながら情報交換。できたてのホヤホヤのビールはとっても美味でした。

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そうそう、今年から(正確には昨年12月から)施行された、日本のストレスチェック制度の話もさせていただきました。厚労省HPからダウンロードできる英語版ストレスチェック質問票とともに。当工場に常駐される日本人のキリン社員の皆さん、もしストレスチェック用紙を強制されるようなことがあればすみません、吹き込んだのは私です(汗)

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奥にレストラン風のホールがあります。カラオケの設備もあるそうです。
当日は管理職研修の真っ最中でGroupdevelopmentなんてパワポが写っていました。キリン社風に洗脳作業中?(冗談です)このホール、接待にも使われるそうですから、キリンの人の伝手で行ったら試飲の部分が充実するのかなあ(笑)

いただいた産業医の名刺、裏返してみたらISOがいっぱい。買収から半年あまりでこんなに揃えられないでしょうから、キリンが買収する以前から結構しっかりした会社だったのでしょう、ミャンマービール。

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一通り見て回って、実直な産業医がキチンと仕事し、従業員の厚生もキチンとした、以前から良会社とお見受けしました。ちょっと気になるのは、買収後、キリンの社長さんが生産量を倍にするだとか鼻息荒いことおっしゃてった記憶が。あんまし無理なことやって、この雰囲気を破壊したりしないことを乞い願っております。

 

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