ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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ミャンマービジネスのヒント:ミャンマーとアルコールの不幸な関係

ミャンマー人とアルコールの不幸な関係

ミャンマーの精神科医の大仕事がアルコール問題。
たとえば、ある富裕層向き医療機関のメンタル部門ではアルコール依存症が主たるお客さんだったり、軍病院でもメンタル疾患のトップがアルコール依存症だったりします。

精神医療現場だけじゃなく、在留邦人(現地に住んでる日本人)の皆さんからも様々な証言が寄せられます。

  • 従業員が酒のんだら、人が変わってしまいびっくりした。あんな良い人がトラブルメーカーだなんて。
  • 従業員AとB、最初楽しそうに飲んでたのに、投石の喧嘩をはじめた!投石ですよ投石!

ミャンマー人の大多数は上座部仏教徒です。仏教の戒律には、「酒の飲むなという掟(不飲酒戒)」があります。イスラム教ほど厳格に守られてはいないものの、まあ、あんまり衆人見てる前で堂々とといいうことでもないです。そんな、お酒とあまり密接なお友達でもない人々が量飲んでしまうと、不幸な関係も生じてきます。

仏教の戒律は↓参照

http://tobifudo.jp/newmon/betusekai/kairitu.html

私的には、ミャンマーのアルコール問題の責任はかなりの部分、「価格」にあると見ています。下の写真は、カンドージ湖ちかくの、何の変哲もない雑貨屋さんで撮ったものです。値札に注目ください。日本円にして35円の値札がついています。
35円です35円! こうやって、仏教の戒律もむなしく気軽にアルコール依存症者が増えてゆくのです。

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ヤンゴン北郊、Dagon西地区にある精神科病院(Mental Health Hospital)にはアルコール病棟があります。他の病棟と異なるのは、男性病棟しかないという点。ミャンマーでは、女性にはアルコールを飲む文化がないから、依存症者の需要もないとの説明を受けました。

さて、ミャンマーの男性には、アルコールで困ったことになる人々が一定数いるということは明らかです。ここに「ビジネスチャンス」もあれば「ビジネスをする上で注意しなければならないこと」もあるようです。

お酒の味は好きだけど、酔ってトラブル起こしたり、市街地から1時間半もかかる精神科病院に入院したりするのは困る・・・まず考え付くのは、日本の誇るノンアルコール飲料(ビール味、ワイン味・・・)でしょうか。上記の事態に困惑するミャンマー政府は酒税引き上げも検討と聞きます。しからば、ノンアルコール飲料の「競争力」も相対的にでてくるのかも。

教訓:

ミャンマー人にはアルコール関連の健康障害やトラブルに悩む男性は多い。あなたがビジネスをするなら従業員のアルコールトラブルについてあらかじめ対処を考えておこう。飲み会なんかは避けた方が無難か。

アルコール問題の予防や対処にビジネスチャンスはないだろうか?