ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

follow us in feedly

ミャンマービジネスのヒント:「接待されるミャンマー人の側」に紛れ込んでわかったコト

先進国の人間から接待されるミャンマー側の一員になる・・・そんなレアな経験をしました。Myanmar Military Medical Conference、ミャンマーの軍医の学会に招待された折、そのままミャンマー側の一員として接待の席に。いやあ、スゴイですね、ミャンマー人に食い込む競争。ニッポンの本社の人々に知っていただきたい現実。

 

まず背景、この学会はミャンマー全土から、軍に給料もらっている医師たちが集まる学会です。以前から研究でつきあいのあるDSMA(日本でいう防衛医大ですね)の教授が招待してくれました。一般人が入れない軍事区域内のとある場所で開催されたのですが、昼の部はごくごくマジメに展開しました。

お昼ご飯は軍隊メシです。バケツから豪快に盛ってくれるモヒンガー。結構いけるお味ですが、軍隊メシは軍隊メシです。

ディナーになると風景一転。なぜか軍事区域内の会場から車で30分もかけてカンドージパレスホテル、1泊200ドルはする高級ホテルに向かいます。彼ら医師の給料は200ドルあるかないかですから、1泊=彼らの給料ということになります。着くとガーデンが学会で貸切!と書いてあります。円卓に舞台がしつられられ、専属のバイオリニストまで席をまわって演奏しています。料理はもちろん軍隊メシじゃなくて、高級ホテルのシェフが腕をふるったものです。

f:id:tabibito12:20150223182801j:plain

f:id:tabibito12:20150223182058j:plain

宴もなかばをすぎると、製薬会社か医療機器会社か、業者の人が「福引」をもってきます。私にも引けと言うのでひとつとると、ニコニコマークの紙切れが出てきました。当たりくじです。おなじテーブルに座っていた8人中4人が引き当てて紙袋をもらいました。「確率50%」の当たりくじ。この確率なら、当たりというより、「ばら撒く」という形容詞がふさわしいかもしれません(このテーブルに座っていたのは最高幹部キーパーソンではありません。中堅どころに教授1人、あやしい外国人1人)。何が出てくると思いますか?

f:id:tabibito12:20150223182329j:plain

 

日本の薬屋さんが「確率50%」でくれるものといったら、カレンダーか、ボールペンのちょっとマシなやつぐらいな感覚でしょうか。夏なら100均で売ってる卓上扇風機あたりか。その程度のことを考えつつホテルに戻り、紙袋を開けてアッとビックリ! ジャジャーン!

 

f:id:tabibito12:20150223181901j:plain

タブレット端末+UBSメモリー+分厚いノート+ボールペン! そして、ある医療機器会社の名が記されたキーホルダーがひとつ。おそらくは医者の給料1~2か月分はあろうかという品々が出てきました。(さすがにこのタブレット端末に日本語が表示されるとは考えにくいので、こちらで子供の支援をやっているNGOの方にお願いして引き取っていただきました)

そうなんです。こちらの方々にご満足いただけるのは、給料半月分ぐらいのディナーをご馳走して、給料1〜2か月分ぐらいの粗品を差し上げてということですね。偶然垣間見ちゃった限り。スゴイですね〜。

 

ヤンゴンに駐在して頑張っておられる皆さんは先刻ご承知でしょうが、問題はニッポンの本社の皆さん。本社が現地事情を理解しないと呻吟し、OKY!(おまえが来てやれ!の頭文字をとった合言葉で、会社・業者のカベを越えて駐在員の人口に膾炙する・・・というのは中国ですっかりおなじみになった光景ですが、これからミャンマーでも)とカラオケバーで絶叫するということの芽があるのかもしれません。石のように固い頭で稟議書のスタンプラリーなんかやってたら負けてしまうのです。負けてしまったら現地駐在員のせいではありません。ぐずぐず固いことを言ってる本社のあなたのせいなのです(と本社に言いたいけれど言えない気の毒な駐在員の皆さんの声をいろいろな国々で聞いてきましたので代弁)。

 

さて、昼の部にもう一度戻ってみましょう。マジメな議論が展開している講堂、その隣の部屋に行くと、そこは「先進国が持ち込んだ資本主義」の世界でした。売込みを競うブースを回ると・・・これはアキバのカフェのお姉さんではありません。どこかの社員がこの格好をさせられ一生懸命何かを売り込んでいるのです。軍事区域だろうが何だろうがと。

 

f:id:tabibito12:20150223181735j:plain

f:id:tabibito12:20150223182618j:plain

教訓:

ミャンマービジネスでは(本社の人間が)固いことをグズグズと言ってたら負ける。

カウンターパート(必ずしも幹部ではない階級)一般に満足いただける線とは、上記写真を参考にされたし。

現地の人間が即決でこれぐらいばら撒ける権限と予算は必須。