マラリア。蚊が媒介する寄生虫疾患です。寄生虫といっても、回虫やサナダ虫のように肛門からゾロリと出てくるものではなく、もっともっと小さなものです。どれぐらい小さいかというと、赤血球のなかにクルリと丸まっておさまってしまう小ささ!
しかしとってもタチが悪く、治療しないで放っておくと増殖し、さらに進むと脳に入って神経症状ーけいれんや意識障害ーを起こしたり、多臓器不全を起こして亡くなってしまうこともあります。アフリカの子供を中心に年間62万人の犠牲者を出しているといわれます(下記リンク、検疫所HP Forth)。
もちろん、手遅れになる前にしっかり治療すれば完治する病気で、マラリア対策が効を奏して世界中の犠牲者は2000年以降半減に近いところまでいっています。
治療の中心は抗マラリア薬の投与ということになるのですが、いま主流となっているアルテミスニン(artemisinin)という薬が効きにくいマラリア(これを薬剤耐性マラリアと呼びます)がミャンマーで広範囲に広がっているよ!という論文が発表されて専門家の注目を集めています。
効くか効かぬか、どうやってわかるねん!ということになりますが、それは遺伝子を分析して調べます。「K13-propeller mutation」という、まあ、そこらへんの顕微鏡で見てもわからないミクロのミクロの世界なのですが、その遺伝子変異が、940検体調べたうち39%に確認されてしまったという困った事態です。
サガイン州ホマインでは実に47%が、また、10の管区では20%以上が、北部や東部全体ではほとんどで10%以上が、この遺伝子変異が見つかっています。
前述のように、マラリアは蚊によって媒介されます。デング熱やチクングニヤ熱といった、ヤンゴンにお住まいの日本人の方々にも発生を見ている疾患とは違う蚊なのですが(デング熱やチクングニヤ熱はネッタイシマカやヒトスジシマカが連れてきます)、いずれにせよ、蚊に刺されない対策というのは共通して有効です。
虫よけスプレー、蚊取り線香、蚊帳など利用してください。虫よけスプレーを買うときには裏返して成分を確認してください。「DEET 〇〇%」と書いてあるのが有効成分です。〇〇の数字が大きいほど、長持ちします。12%で2時間ぐらい、20%で4時間ぐらい。ヤンゴンでは薬局に行けば買えますが、シティマートの方がいろいろ種類が豊富です。成分「Citronella」と書いてあるのはすぐ切れてしまい頼りないので「DEET」とあるのを選んでください。
また、今回話題になっている薬剤耐性マラリアは東部や北部が中心です。ヤンゴンで身近ではなりませんが、週末の小旅行などでヤンゴンを離れてプチ探検感覚で北へ向かう人は特に蚊対策をおこたりなく。
教訓:ミャンマー生活では蚊に刺されない対策をいつも意識しよう!
FORTH|最新ニュース|2013年|マラリアについて (ファクトシート)
http://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099%2815%2970032-0/abstract
ミャンマーのArtemisnine耐性マラリアが広〜く分布していたという報告@Lancet - 新型インフルエンザ・ウォッチング日記〜渡航医学のブログ〜