ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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ミャンマービジネスのヒント:ミャンマーでは接待する人と接待される人の関係が微妙だ

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さて、前回に続き、私を迎えて設けてくれた宴の写真からもうひとつ。
この写真には現役教授2名、引退した先代教授2名、教授お気に入りの中堅医師3名、そして私が写っています。出席者が全員揃っています。じゃあ誰がシャッター押してるの? となりますが、答えはズバリ「薬屋さん(製薬会社)」です。製薬会社(この日はRoche社)が医者の会食をスポンサーするのは日本でもありますから、その事自体はわざわざブログに書くことでもありません。

 

面白いのは彼らの行動。日本でこのような場があれば、薬屋さん(業界ではMRさんと呼びます)は、「侍る(はべる)」という行動に出ます。料理を皿に盛ってサッと差し出す、グラスのビールが3分の1ほど減ったら横からスッとビール瓶が伸びてくる。医者の間に彼らの席もセッティングしてあって、何だかんだと話題に入ってくる。ところがミャンマーではそういう行動がまったく見られない。

 

この写真の枠外、右側に彼らの席があって、4名でやって来て、(一切こちらの会話に入って来ることなく)彼らは彼らで勝手に食べています。大鶴義丹似の中国系ミャンマー人をリーダーに、もう一人の男性、そして20代の知的な顔した美人2名。名刺交換は熱心にやりますが、あとは別別に勝手に食べて、会計はあちらが払っておしまい。

 

ここまででも十分“異文化”ですが、もらった名刺を見てびっくり、“大鶴義丹”は医者なのでした。さらに夜になって“知的な美人”の方が私のフェイスブックに友達リクエストを送ってきました(なるほどぉ、こうやって接近するのね)、そのプロフを見るとこれまた医学部卒、ミャンマー1医大の美しい校舎を背景に、2013年卒だと書いてあります。日本なら必修化された研修医2年目のはず、医者の基礎をつくる大事な時期に、なんで製薬会社の名刺をもって(一応それでも)接待をやっているのか。

 

ニッポンの常識頭でいくら考えてもわからないので、翌日、教授に聞いてみました。そこで判明した驚愕の真相はこうです。医学部卒業生に対して、外資系製薬会社は“高給”を提示します。医者の平均的給料200ドル/月に対して、外資系製薬会社の初任給600ドル/相当。つまり医者になるより給料3倍(!)という現実があるのです。こうして、ミャンマー最高級の頭脳をゲットしてしまうのですね。この“高給”、外資系製薬会社にとっては“たかが”600ドルで(嘆)

教訓:ミャンマービジネスでは、日本の同資格では考えられない仕事をしてる人がいることを念頭におくべし。笑顔であなたにもみ手くれてる相手は、あなたより上級資格者かもしれない!