ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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新年あいさつの注目株

2017年、ミャンマー要人たちの年頭挨拶。注目点をピックアップしたイラワジ紙記事が面白いので紹介。

イラワジ紙、評論家たちのコメント。

【ミンアウンフライン将軍】
総選挙を挙げつつ、同時に、
昨年11月~に起こった少数民族軍によるアタックに対してコメント。
その中で「ethinic armed insurgence」という言葉を使っているところに注目。insurgentとは反乱軍。つまり少数民族側に対して少数民族武装「反乱軍」という敵意むき出しの表現を使ったことになり、これに不快感を感じている少数民族側もあるのでは、今後の和平会談に悪影響を及ぼすのではとも懸念されています。

最優先は国の安定。第二優先は国の発展。第三優先は民主主義と連邦制の確立。

【U Win Myint(下院)】
和解が第一優先。国内の平和と連邦制民主国家の確立。国民に対して、国の将来に気をかけ、国と次世代に対して何ができるか考えよと。

【ティンチョー大統領】
国内平和が第一優先。和解が第二優先。連邦制民主主義が第三優先。

【イラワジ評論家の考察】
和解の達成には、軍・政府・少数民族の和解が必要。これが達成されてはじめて、連邦制が機能する。しかし優先順位において軍と政府のあいだに齟齬がある。かつてアーティストのU Win Peが言ったように流れを北向きからいきなり南向きに変えることはできない。まずは流れの速度をゆっくりにして、それから・・・。これと同じ。

要人たちの新年あいさつには、政治的な話ばかりで庶民の暮らしについての言及がない。たとえば交通問題。理想には程遠く、バスの車掌が乗客を殴りつけるという事件があったが当局の動きは鈍い。法の適用が適切に出来ていないといえる。

【管理人のコメント】
キーパーソンのいずれもが、「政治的なこと」「高尚なこと」「遠距離なこと」に目が向き、足元の庶民の暮らしについて言及していないのはとても気になるところです。ただ、これは多くの途上国で共通する感覚。私が住んできた途上国、スーダンセネガル・中国とも同様。(ただしセネガルは私の離任後、現大統領に代わってかなり状況が変わっていますが。あの国で国民皆保険なんて世界がひっくり返ったかと思った)しかしすぐ国がおかしくなるわけでもなく、おっとどっこいと保っています。この国の人々は耐性も筋金入りのはずですし、、、

ここは「定点観測ポイント」とすべきでしょう。来年、再来年、この方々(後任ふくめ)の新年挨拶がどう変化してゆくのか。庶民の生活について言及されるようになってゆくのか。あるいは変化せざるを得ないような出来事がドカンと起こりその結果変化しているのか。

 

英語字幕つき
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