ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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手錠かけられニコニコ顔がメディアに載るのはミャンマーの象徴かもしれない

手錠をかけられた人がニコニコ満面の笑みをうかべ、記者たちがゆっくり落ち着いて撮って紙面をかざる・・というのはこの国のユニークさを象徴する光景ではないかと、また思った1件。

おそらく顔の部分だけ切り取れば、なにかの受賞報道かと思ってしまうこの紳士。

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手錠がハッキリ写りこみ、さらに隣や後ろの警察官がリラックスした表情。これを撮った記者にしても、じっくりフォーカス合わせて撮った感じですね。

こういう光景は他国の新聞にはなかなか載りません。人権先進国ならそもそもこういう場面に記者は入れていないし、入れたとしても手錠はタオルか何かで隠されていることでしょう。こういう場にマスコミがどっと乱入してきたら警察官は怖~い顔して、斜めに傾いたようなアングルで、もみ合いながらシャッター押したような写真になっているはず。

いかにもミャンマー的な光景です。

この御仁はU Hla Phon氏38歳男性、前政権時にSNSで軍トップやテインセイン大統領(当時)を侮辱したかどでインセイン刑務所にぶち込まれています。根拠はTelecommunications Law and Article 505(b)、国家侮辱罪みたいなものです。

「軍トップや軍事政権の残り香があるもの」にはアレルギーがあるけれど、この国家侮辱罪的な、SNSで要人悪口拡散したら逮捕される仕組みも完全撤廃してしまえば、一歩矛先が変わってしまったら大リスクになるので現政権もやめるわけにはゆかず、”トランプ支持者”みたいなのはこの国に馴染まないから粛々と運用される。だから逮捕されちゃった人も堂々とこぶしを振り上げるけれど手錠そのものははずしてもらえない(今回は禁固2年の判決)。

なんだか、アジア的妥協、ある意味アジア的賢さもかんじられるような光景です。

こちらもご参照ください。

 

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