ミャンマー現地調査の報告です。
ミャンマー在留邦人を取り巻くメンタルヘルス環境 ~2015年の現状~ (日本渡航医学会誌 vol9 (1) 28-33 査読付)
2014-2015年の調査結果です。
前職、外務省医務官としてスーダン・フランス・セネガル・中国の在勤経験のなかで、現地の経済発展段階、インフラ、文化、日本人社会の規模などの要素によりメンタルヘルス環境が大幅に異なることを肌で感じてきました。一方で、グローバリゼーションのなか、たとえばメディアで最後のフロンティアと表現されるアフリカ等、これから新たに企業進出を開拓し拡大してゆかなければならない進出先があります。
そこで、勝田研究室では日本企業群が今後、進出段階・規模に応じてどのような支援が必要になるのか提言に結びつけるべく、科研費の支援をいただきながら、現地調査、日本国内では企業への調査など並行して進めています。
ミャンマーはかつて軍事政権という”不自然な重し”で抑えられていたところからリバウンド、連続して毎年+50%以上の邦人数増加を示しており、今後も予想されうる急速な邦人社会の変貌や経済発展から、いわば極めて興味深い実験地、フィールドと考えています。科研費の研究計画は昨年開始の5年間、少なくとも2019年度までは通います。
今後、現地精神科医からの情報、国内での調査等々含めて報告を発信してゆきたいと考えています。
今回の論文発表は2014年と2015年の比較となります。現地におけるストレス要因はインフラ関連がいずれも上位を占める一方で、「娯楽手段の不足」「ミャンマー人」が減少したということが分かり、民主化から4年を経てミャンマー生活の要領を掴みつつあることがうかがえました。一方で「日本の本社」の割合が増加し、現地事情と本社の理解との齟齬が目立ちつつあり、本社側の現地理解が必要です。
ストレス解消手段として「インターネット」「飲酒(ひとり酒)」「国外旅行」が減少し、ネットに依存し酒びたり、とにかく国外に出るのがストレス解消という状態から、ミャンマー国内に目を向ける余裕が生じてきています。脅威を感じる感染症として「狂犬病」「デング熱」が目立ちました。
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