ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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宴のあと、ミャンマー総選挙後に起こること占い(2)アウンサンスーチー氏と我がニッポン

宴のあと、これから起こることその2は、ずばりアウンサンスーチー氏です。

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現地の調査研究の滞在中、ミャンマー人ドクターのみならず現地に在住する日本人のみなさんにも色々お話をうかがう機会があります。ミャンマーの現実を肌で知っているみなさんから垣間見えるアウンサンスーチー氏への感情が、実にいろいろなのです。それぞれ複数なるのを無理やりまとめると、こんな感じです。ひとことでいえばmixed feeling

1.アウンサンスーチ氏待望論の意見
 「ビジネスをやっていても、軍の利権独占は毎日毎日感じる。ここまで発展してきたミャンマーだが、ここから先は、利権を手放して完全な民主化しなければ発展しないだろう」まあ、確かに不可解なことは色々ありました。ほとんど決まりだった案件が覆ってみたり・・・

2.アウンサンスーチー氏の対日感情を考察する声
 ここんとこ、現地を知れば知るほど複雑になってくるところです。訪日したとき、日本で大歓待を受ける中で立ったスピーチで厳しく批判し注文をつけた。とか、京都大学に留学時代、指導教官と合わなかったらしくいちもつ持ってる説とか。契約するなら総選挙前までに、なんて言う声まで聴いたりしていました。
 お父上のアウンサン将軍は、本来親日。家庭内親日教育の効果はとも思いますが、我々は「親日のお父さんの愛娘が天下をとったから期待を込めて見つめていたら、先に中国に会いにいってしまうわ、銅像建立は認めるわ、あちこちで妙なこと言いふらすわ・・・」というトラウマもあるわけで、そこらへんニュートラルに観察しなければならないでしょう。

3.アウンサンスーチー氏に好かれる国、嫌われる国
 好かれる国ナンバーワンはなんといってもUK。愛する(今は亡き)夫はオックスフォード大教授にて、まあ、あの国の価値観を刷り込まれてきたというのは有名な話。UKはそれなりに懸命に支援するでしょうが、この国の発展に切り札となるインフラ支援、電気が停電せずちゃんと来るようにするとか、あのカオス的大渋滞をなんとかするとか・・・の支援にはいまいち力不足です。まあ、この国を植民支配して色々悪いことやってきたノウハウは残っているでしょうから、NLD政権がひっくり返らないよう民衆を抑えるノウハウの支援あたりが中心か(ブリカンの人たちハッスルするんだろなあ)。少なくとも、もうひとりの愛娘みたく、自国を植民支配した旧宗主国謝罪と賠償を繰り返し求める展開にはなりそうもありません(UK、オックスフォード教育おそるべし)。米国は、まあ、この国がウンと言ったから今の投資ブームの流れがあるわけで、好きの嫌いの言ってられません。かなり大好きに見えるオバマ大統領の任期は間近。後任の次期米大統領はオバマ氏みたいにこっちを見てくれるかなあ・・・

 嫌われる国は、まず、これまで軍事政権をせっせと支えてきた国です。西側の経済制裁下でもがっちり支えてきた中国など筆頭でしょう。とはいえ、中国を怒らせると、赤十字まで襲撃しちゃう怖い怖いコーカンゲリラが襲ってきますから習さんの顔見ながら当たらず触らず・・・が通用するような国が相手ではありませんから、悩ましいですね。

 

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やっぱりUSDPとヨロシクやってきて、日本の本社がぐずぐず稟議書スタンプラリーをやってる間にいくつもビジネス案件ゲットしていた韓国も、あんまり好いてもらえないでしょう。ただ、こちらは韓流スターの甘いイケメン押し出して商売人中心ですから、そんなに好いてもらえなくても影響ないのかも。

 EU全体として、本来、好いてもらえるはずではあるんですが、それなりにUSDPとよろしくやったり、勇み足もあります。アウンサンスーチー氏お気に入りの可愛い可愛い赤色学生たちに手荒なことした機動隊、その「手荒なこと」のノウハウ提供したのがEUでしたなんて勇み足もありました。

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アウンサンスーチー氏が日本のことどう思っているか、私は直接話したことないからわかりません。70歳のご婦人とご機嫌よく話させていただく・・・というのは日常臨床で使ってるスキルではあるのだけどなぁ:笑

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