ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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サガイン州の鳥インフルエンザ騒動その後

以前紹介したサガイン州で発生した鳥インフルエンザ騒動の続報、政府発表がありました。「(今のところ)人間への感染はありません」と。

今回発生していたのはサガイン州のMonywaで2月に鶏1400羽、うずら10000羽が死亡したところから始まっていますが、その後、鶏1500羽とうずら20000羽が殺処分されています。

鳥インフルエンザ騒動で怖いのはヒト感染です。本来、鳥の病気なのだけれど、何かの拍子に運悪き人に感染してしまうことを、業界ではヒト感染とカタカナ表記します。鳥市場などで密接に鳥に接している人や鳥の死骸に触っちゃった人に、例外的に1例ないし数例ごく少数感染するのも十分に要警戒なことですが、本当に恐ろしいのは遺伝子変異によって、ウイルスが(鳥からだけでなく)ヒトからヒトへと直接、どんどん感染拡大する能力を獲得してしまう事態です。「新型インフルエンザ」という言葉を聞かれたことのある方も多いと思いますが、そのような状況になると「新型インフルエンザが発生した」といいます。

さて、それでは今回サガイン州で起こっていることはどうでしょうか。今回の政府発表によれば、「発生をみた農場で働いていた4名に感染は確認されなかった」ということです。鳥インフルエンザの政府発表で「感染は確認されなかった」というのは、通常われわれがインフルエンザの診察で鼻やのどの奥にグリグリっとやられ、しばらく待っているうちに結果出てくるあれ(簡易検査といいます)とは異なります。鼻(ノド)グリグリまでは共通ですが、その後、ウイルスの遺伝子を調べるRT-PCR法という方法が一般的です。

とりあえず、今現在、ミャンマーには鳥インフルエンザH5N1に感染した人はいないという公式発表です。タイや中国国境地帯の、少数民族反政府軍の跋扈する隅々まで把握出来ているのか・・・というと別の議論になってきますが、とりあえず、ヤンゴン在住の皆さまの隣に感染者がいた・・・という可能性は考えなくともよいかと思います。

ただ、ヤンゴン中心部といえども、⇩の写真のように、鶏と人間が密接に生活の場を接している日常もあります。病気の鶏・死骸には近づかないという習慣はつけておくべきでしょう。

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なお、ミャンマー鳥インフルエンザH5N1騒動が発生するのは今回が初めてではなく、2006年と2012年にサガイン州で発生をみています。

 

None infected with bird flu in Myanmar's state: official - People's Daily Online

ソースのサイトが不安定なので魚拓
http://en.people.cn/n/2015/0324/c90777-8867722.html - 2015年3月25日 18:45 - ウェブ魚拓