ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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ミャンマー人が赤い液体を吐き出すあの光景が消滅するかもしれない(NLD政権がふるう大なた)

ミャンマーの街を歩いていると、いきなり赤い液体をピッと吐き出す人を再々見かけます。そして、歩道の端はたいてい、この「吐き出された赤い液体」がこびりついて染みのようになっています。噛みたばこです。ビンロウの実+αをくちゃくちゃ咬んでピッと吐く。街角や環状線の車内で葉っぱに何か塗ってクルッと巻いて売っているのがこの噛みたばこです。この国民的習慣にNLD政権が大なたをふるう方針

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ミャンマー庶民のあいだで定着したこの習慣、NLD政権が大ナタをふるおうとしています。まず手始めに病院・役所・学校の近所での噛みたばこ禁止! これら公共の建物が、その近所が、足元を噛みたばこを吐いたあとの、ビンロウの色が染みついている状況をまずは改善しようとの意志です。それぞれの”近所”という表現で、半径何メートル以内とかの数字は”まだ”発表されていないとは地元紙の記事です。つまり、公共場所の建物内禁煙とは違い、もっとずっと広い範囲で禁止をかけようという意向で、たとえばヤンゴン中心市街地など大部分が禁煙区域になりそうです。

この施策へのモチベーションになっているのは単に「赤い液を吐き出されるのが汚らしいから」だけではありません。さらに、発がん性の問題、口腔癌・舌癌・喉頭癌のリスクの問題があり、こちらに対する啓発もおこなう構え。つまり、公共場所とその周辺の禁止は第一段階であって、今後、第二第三段階と廃止に持ってゆきたいのだろうなあと推測されます。

 

 ただ禁止してしまえば、このように噛みたばこを1回分づつ売るという零細な商売をしている人々の生計の糧を取り上げることになってしまうので、それに代わる生計の糧をこれから検討するとも発表されています。

 生産者に対する代替作物の提供まで含めていろいろ多方面からのアプローチが必要になってくる施策ですが、NLD政権の、アウンサンスーチー氏の指導だからといって、依存性のあるものに対して(ヘロインのような法的根拠なしに)どこまで成果があげられるのか、試金石として成り行きをウォッチしてゆきたいと思います。NLD政権の方針がなかなか出てこない中、いきなりこれが飛び出してくるというのは、政権内における保健省の力関係がかなり強いのかなあとも分析。

 

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ところで、私はこれを口に入れたことが無いのですが、どなたか、自分自身愛用していて、街に出たらいつもおっちゃんから買ってるよ!という日本人の方いらっしゃいましたら、コメント欄にいただけたら幸いです。どんな味がするのか、気持ちよくなるのか、そもそもあれを口に入れてお腹をこわさないのか・・・

 

ソースはイラワジ紙

Betel Nut Sales to Be Curbed

写真は管理人撮影:記事とは直接の関係ありません