ミャンマーよもやま情報局

関西福祉大学 勝田吉彰研究室。科研費研究でミャンマーに通っています。学会発表や論文には入らないやわらかいネタをこちらで発信しています。取材や照会など連絡先はこちらへ myanmar@zaz.att.ne.jp

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国内メディアが報じない部分、アウンサンスーチー氏演説

2度にわたる白内障手術を終えたアウンサンスーチー氏。くっきり見える視力を取り戻して、ミャンマー旧暦正月はじめての演説にのぞみました。現地紙のアップから、日本メディアが報じない部分を紹介します。

アウンサンスーチー氏の17日演説は日本の各紙に少しづつ報道されています。多くはベタ記事ですが、朝日は少し大きめの扱い。各社、ミャンマー支局のみなさまはとっても優秀な方揃いですが、本社整理部・編集部が割り当てるスペースは限りがあります。憲法関連とか国民が第一と力説部分とか、こちらで報じられている部分については朝日新聞サイトからご覧ください。

スーチー氏、政権発足後初演説 民主化完成へ改憲に意欲:朝日新聞デジタル

ここにアップされない部分を紹介しましょう。

他国に追い付け! 走れ! と尻と叩いている。
他国に20年遅れている。他国が歩いていても、ミャンマーは走ろう!頑張って追いつくのだ!(When people from other countries are walking, we need to run, taking great trouble to be able to catch them up.)と叱咤激励モード。

パパの言葉を堂々と引用している。

日本では安倍さんも麻生さんも石原さんも、そんなに露骨に「パパの言葉」を引用はしませんが、こちらは「My father said...」と堂々と引用している部分が何か所か。たとえば上記の、他国は歩いてもミャンマーは走れも、アウンサン将軍が第二次大戦後に言ったことの引用だとはっきり言っています。

どの国と親和性か、巧みに避けている

中国との関係は、日本との距離は、欧とは、米とは・・・あらゆる国が熱視線を注ぎながら、ウチの国との距離感はいかばかりか気にしています。日本人でも軍事政権時代の支援を恨まれてるのではと悲観的なこと言う人までいたりします(そんな事言いだしたら中国なんか断交しなくちゃならなくなるのですが)。そんなこんなで、今後のミャンマー外交の方向性が注目されるのですが、「我われの国はすべての国と良い関係を築いてきた。これは我々の国がとても誇りにできることである。世界中の人々からミャンマーは尊敬されている。なぜか。激しい逆境から立ち直ってきたレジリエンスがあるからだ」Since the attainment of independence, our country has maintained good relations with all parts of the world. This is something our country can be very much proud of.always won international respect. Why? Our people could have been resilient amidst the dramatic woes, showing their talents.

と隙を見せません。

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パパの言葉を引用しつつガードも固い今回の演説ですが、国の進む方向は明確に述べられていて、当面国民はついてゆくだろうと感じられます。願わくば他国から横やりが入らないことを願って・・・

 

イラワジ紙英語版に全訳が載っていますので参照ください。

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